ゲームばかりしている小学生たちは「みんなやっているよ!」って言うことが多いけど、本当かなぁ?
小学生のスマホやゲームの利用実態についてアンケートを取ってみたぞい!
- もくじ
スマホで動画ばかり見たり、ゲームをやる時間が長すぎたりする小学生に注意した際に、「なんでうちだけ?」や「みんなもやっているのに!」と言われたことはありませんか? GIGAスクール構想が広がる中、小学生がスマホやタブレットを勉強で使っているのか、遊びで使っているのか区別がつきづらい状況になっており、注意するのも難しくなっています。そこでガンホーでは、2023年1月~3月に行った「ゲーム・スマホ啓発講座」に参加した小学生1500人にアンケートを実施しました。現在の小学生が、ゲームは何歳からはじめているのか、どのようにゲームやスマホを利用しているのかのリアルな声を聞くことができました。
生徒1人に1台の端末と高速大容量の通信ネットワークを整備するGIGAスクール構想とは?
文部科学省「GIGAスクール構想について」
ガンホーが実施している小学生向けのゲーム・スマホ啓発講座の詳細はこちら
機能制限(ペアレンタルコントロール)でゲームやスマホの時間を管理している?
スマホやゲーム機には、小学生が有害なサイトにアクセスしたり、ゲームで勝手に課金したり、長時間ゲームをすることを制限する機能が搭載されています。ITジャーナリストで成蹊大学客員教授の高橋暁子さんをはじめ、これまでにインタビューさせていただいた有識者のみなさんも、ペアレンタルコントロールの有用性について認められていますが、実際に各家庭で機能制限は活用されているのでしょうか? まずはアンケート結果から見てみましょう。
管理していない家庭が多い結果に
アンケートの結果を見ると、小学校高学年になるほど「制限していない」家庭の割合が増えていることがわかります。小学校4年生より上の学年の子どもの約50%が「制限なし」でスマホやゲーム機を利用しています。高学年になると「なんでうちだけ?」、「みんなもやっているのに!」と友だちを引き合いに出して、スマホやゲーム機に制限をかけることを拒否している可能性があります。ペアレンタルコントロールは有用な機能ですが、小学校高学年になると機能制限だけで管理することは難しい実状がうかがえます。
したがって、ペアレンタルコントロールで制限をかけるタイミングは、スマホやゲーム機を子どもに渡す時点で設けるのがベストと言えるでしょう。ゲーム時間の管理やゲームを何歳から始めるかに注意しながら、スマホやゲーム機の利用を適切に導いていくことが重要です。
管理している場合は「利用時間」を管理している
一方で、機能制限で子どものスマホやゲーム機を管理している家庭を見てみると、小学1年生や2年生では「課金」の制限が一番多く、小学3年生以上の学年では「利用時間」の制限が一番多くなっています。高学年になると自立心が芽生え、「お小遣いの中から自分の判断で課金したい」と言う子や、「勝手に課金してはいけない」という判断ができる子どももいるため、「課金」の制限は減っているのかもしれません。一方で、スマホやゲーム機を利用する時間が増えてくるためか、「利用時間」の制限が多くの家庭で使われているようです。
しかし、自立心が芽生えてくる小学校高学年の子どもを持つ家庭の半数が「制限していない」という結果を見ると、スマホやゲーム機の機能で制限するよりも、子どもと話し合って約束をし、機能制限に頼らない約束(ルール)作りに重きを置く家庭が多いのかもしれません。
福岡教育大学教育学部家政教育ユニット 准教授の奥谷めぐみさんも、親子で話し合って約束(ルール)を作ることの大切さについてお話されていますので、参考にしてみてください。
福岡教育大学教育学部家政教育ユニット、准教授・奥谷めぐみさんインタビュー
ゲーム・スマホの約束(ルール)は、親子で話し合って決めよう
小学生は実際どれだけゲームをしている?
スマホやゲーム機の機能制限で一番多く使われていたのは「利用時間の制限」でした。多くの親が、子どもがゲームで遊ぶ時間を心配し、問題視しているようですが、実際に小学生はどのぐらいゲームを遊んでいるのでしょうか? ゲームを遊ぶ時間についてのアンケート結果を見てみましょう。
1日1時間~2時間が小学生のゲーム時間の平均
アンケートの結果を見ると、低学年では「1時間~2時間以下」が最も多く、小学校の5年生や6年生になると「2時間~3時間以下」が多いという結果になりました。高学年の中には「3時間以上」という子どもも一定数いるようですが、平均は1時間~2時間です。もし子どもが「みんな3時間以上やっているよ!」と言ってきても、3時間以上遊んでいる子は少数派で、平均は1~2時間であるということをこのアンケートを使って説明できそうです。また、小学生の1日のスケジュールについて考えてみると、小学校での学校生活やクラブ活動、塾や習い事などで意外と忙しいことがわかります。
そんな中、3時間以上ゲームを遊んでいる子どもは睡眠時間も短くなりがちです。子どもの睡眠に詳しい民育(みんいく)アドバイザーの高橋大洋さんは睡眠不足による悪影響と、しっかりとした睡眠をとることについてのメリットについて解説してくれています。「子どもにしっかりとした睡眠時間をとってもらうようなスケジュールから逆算することで、スマホやゲーム機に触れられる時間も自ずと決まってくる」ともお話されているので、ぜひ高橋さんのコラムを参考にしてみてください。
民育アドバイザー・高橋大洋さんインタビュー
ゲームばかりしている子どもの睡眠時間が心配――ゲームと上手に付き合いながら睡眠不足にならない方法を眠育アドバイザーに聞いてきた
ゲームをしない小学生はほとんどいない?
あらためてアンケートの結果を見ると、小学校1年生こそ13%とゲームを全く遊ばない子どもが1割以上いますが、2年生以降は1割を切っています。ゲームはもはや小学生の子どもたちにとって、欠かせないコミュニケーションツールになっているため、ゲームそのものを禁止するのは現実的ではありません。
小学生の約半分は毎日ゲームをしている
「持っている機器でゲームをしますか?」のアンケート結果では、小学1年生こそ「毎日する」は35%に止まっていますが、小学校の高学年になると半数以上の子どもが「毎日する」と回答しています。「ときどきする」も含めると8割以上の子どもが、それなりの頻度でゲームを遊んでおり、ゲームが小学生にとって切っても切れない関係にあることがわかります。こうした状況からも、ゲームを禁止してスマホやゲーム機を取り上げてしまうことは現実的でないと言えるでしょう。
今の小学生のゲームデビューって何歳から?
ゲームをしない小学生の割合が1割を切る中、子どもたちがスマホやゲーム機でゲームをはじめるのは何歳からなのでしょうか? いつからゲームをはじめたのかアンケート結果を見てみましょう。
小学校低学年の時点でほとんどの児童がスマホやゲーム機でゲームをプレイ
アンケート結果を見ると、小学生低学年の時点でほとんどの子どもがすでにスマホやゲーム機でゲームを遊んでいることがわかります。
興味深いのは、低学年の子どもの半数近くが「小学校入学前から」ゲームをしているのに対し、高学年は「小学校低学年から」という回答が多いことです。今の小学生はコロナ禍の影響による長期休校を経験したこともあり、その期間にゲーム機やスマホ・タブレットを用意した家庭も多かったのではないかと推測しています。それにより、このような結果でなったことも考えられます。
このことが一因となって、ここ数年で見ても子どものゲームデビューが年々早くなっているということでしょう。小学校入学前からスマホやゲーム機そのものを機能制限で制限することや、遊ぶ時間や課金についての約束作りをはじめることが必要なのかもしれません。
小学生は親と一緒にスマホやゲーム機でゲームをしているのか?
家庭用ゲーム機を世界中に普及させたファミリーコンピューターの登場が1983年です。親御さんの中には、ご自身もゲームが好きで、小学生の子どもと一緒にゲームを遊んでいるという方もいらっしゃるのではないでしょうか? 親子でスマホやゲーム機を使ってゲームを遊んでいる家庭がどのぐらいあるのかアンケート結果を見てみましょう。
半数以上が親と一緒にゲームをしたことがある
アンケート結果を見ると半数以上の小学生が、親と一緒にゲームをしたことがあることがわかります。親子一緒にゲームを遊ぶと、親子の会話も増えるため、ゲームのことや小学校での子どもの様子を理解した上で、スマホやゲームに関する約束作りもできます。例えば、小学生たちの間で人気のオンライン対戦ゲームの場合、対戦の途中でやめさせると、一緒に遊んでいる子どもの友だちもゲームに負けてしまい、子ども同士でトラブルに発展するといったこともあります。親子でゲームを遊ぶことで、こうしたゲームの特性を理解し、子どもと話し合ってゲームに関するルールを作れるので、積極的に小学生の子どもとゲームを遊ぶ時間を確保すると良いでしょう。
小学生はゲームをしていて何で一番怒られているのか?
ゲームばかりしている小学生に対して「ゲームばかりしていないで勉強しなさい!」と叱ってしまう親御さんも多いことでしょう。実際、小学生はどんな理由でゲームをしている時に親に叱られているのでしょうか? アンケート結果を見てみましょう。
「遊ぶ時間」が原因で叱られていることが一番多い
一番多いのは「長時間遊んでいた」で、次に多いのが「夜遅くまで遊んでいた」という結果になりました。多くの親御さんが、子どもがゲームを遊ぶ時間を問題視していることがわかります。スマホやゲーム機の機能制限の利用や、ガンホーが提供する『お約束メイカー』も活用しつつ、小学生のゲーム時間を見直してみてください。また、時には子どもを叱るつもりが感情にまかせて怒りをぶつけてしまったことで親子の関係が悪化してしまうといったこともあるかもしれません。ゲームばかりしている子どもに怒りの感情ぶつけないためのコツを、日本アンガーマネジメント協会代表理事の安藤俊介さんにうかがっていますので、ぜひインタビューを参考にしてみてください。
日本アンガーマネジメント協会代表理事・安藤俊介さんインタビュー
なかなかゲームをやめない子どもを怒らずにやめさせる方法ってあるの?
小学生が起こすスマホやゲームのトラブル実態
小学校に通う小学生をもつ親御さんが一番心配されるのが、スマホやゲームによって起きるトラブルでしょう。小学生がどんなトラブルを経験しているのかアンケート結果を見てみましょう。
「友達とのケンカ」がトラブルでは一番多い結果に
結果を見ると8割近くが「トラブルはない」と回答しており、実際にトラブルに遭遇した子どもは少ないことがわかります。そんな中、遭遇したトラブルの中で一番多いのは「友達とのケンカ」ですので、身近な友達との間で起きたトラブルであることが分かります。一方で自由回答に寄せられたコメントでは「パスワードを教えてと言われ、教えてしまった」や「裸を見せてと言われた」など、危険性の高いトラブルに遭遇した小学生もいました。どちらもオンライン上での見知らぬ人との間で起きたトラブルですので、子どもが誰とゲームをしているのか、スマホで交流をもっているのかについては、敏感になっておいた方が良いでしょう。
ゲームを遊ぶ上で各家庭が設けている約束の実態
小学生のスマホやゲームの利用実態についてのアンケートを見てきましたが、最後に各家庭でどんな約束をしているのかもアンケートを取りましたので、そちらも見てみましょう。
小学校高学年の「課金」は機能制限ではなく「約束」が多い
各家庭が設けている約束として、いずれの学年でも一番多かったのは「ゲーム時間」に関する約束でした。また、小学校高学年になると「課金」に関する約束も増えています。冒頭で紹介した機能制限に関するアンケートでは、高学年になればなるほど「課金」を機能制限で制限していないといった結果が出ていました。高学年の「課金」に関しては、スマホやゲーム機の機能制限で制限せずに「約束」を作っている家庭が多いことがわかります。
「約束」は親子で話し合って決めた率が一番高い
「ルールや約束は誰が決めましたか?」という質問に対して、一番多かった回答は「親と子どもが一緒に決めた」です。過去に行ったアンケートでも親が一方的に決めた約束は守られない傾向にあることがわかります。子どもの話をよく聞いてあげて、子どもも納得する形でルールを作ることで約束は守られる傾向にあります。自立心が芽生えてくる小学校高学年のお子さんとの約束作りには、ぜひ自分だけのオリジナル約束が作成できる『お約束メイカー』を活用してみてください。
- POINTまとめ
-
- ペアレンタルコントロールで「時間」を管理している家庭が多い
- 小学生の1日のゲームプレイ時間は平均1~2時間
- ゲームデビューは小学校低学年が多い
- 半数以上の家庭が親子でゲームをプレイしている
- ゲームで親に叱られる原因のトップは「時間」
- 小学生がゲームで起こすトラブルで多いのは「友だちとのケンカ」
- 親子でゲームに関する約束を作っている家庭が多い
- インタビュアー/ライター
斎藤 ゆうすけ - さいとう ゆうすけ。ライター・放送作家。大学在学中よりゲームメディアで記事の執筆を行い、現在はテレビやラジオの放送作家として活動。バンタンゲームアカデミーおよび東放学園映画専門学校にて、講師としてゲーム関連の講義も担当しており、バンタンゲームアカデミー高等部eスポーツ専攻ではプロゲーマーを目指す高校生向けにネットリテラシーの講義も行う。活動に関する告知はTwitter『斎藤ゆうすけ(アニゲウォッチャー)』にて発信中。