親子でスマホ・ゲームお約束メーカー
インタビュー
2022年5月27日

ゲーム・スマホの約束(ルール)は、親子で話し合って決めよう!

スマホ・ゲームの約束って親が一方的に決めたものでいいのかな?

それはちがうぞい!親と子どもで話し合ってお互いが納得する事で約束の効果が高まるんじゃ!今回は、約束を作る上で親子の話し合い方について詳しく聞いてきたぞい!

親が一方的に決めた約束(ルール)の場合、子どもは不満を持っているかもしれません

親と子の間にはさまざまな約束があります。その中でもゲームやスマホのルールに関してはどうしたらいいか迷っている親御さんも多いかもしれません。ゲーム・スマホを安全に子どもに使ってもらうため、事前に親子で約束を作る事が大切。しかし約束は、親が一方的に子どもに「守りなさい」というものではなく、親と子どもで話し合い、お互いが納得する事で、効果を発揮するものだとガンホーでは考えています 親子の約束作りの話し合いは、どのように進めたらいいのでしょうか? 「親子でスマホとゲームのお約束メイカー(以下、お約束メイカー)」の監修を行っていただいた、福岡教育大学准教授の奥谷めぐみさんにお話しを伺いました。

もくじ
奥谷めぐみさんプロフィール奥谷めぐみさんプロフィール
1986年、兵庫県生まれ。福岡教育大学教育学部家政教育ユニット、准教授。専門は生活経営学、消費者教育。メディア利用で複雑化、若年化する消費者問題、およびメディアが生活に与える影響等について研究している。大学の教員として働く傍ら、二児の母として日々、子育てにトライアンドエラーで奮闘中。

ゲームの約束(ルール)を作る上で、話し合う内容ってどんな事?

奥谷先生ご自身もゲームが大好きなのだそう。「ゲームで救われる人もおり、ゲームを否定したくないです。ですが一方でお子さんの生活のバランスをゲームやスマホが阻害しているのであれば、それは改善していった方がいいですよね」とお話されています。いい生活バランスを見つけていくため、どう親子で約束を作っていけばいいのか、伺いました。

子どもと話し合う前に親が把握しておきたいこと

――親が子どもとゲームについての約束を話し合う前に、親側が事前に知っておいた方がいいことはありますか?

奥谷 まずお子さんの状況を事前に知らないといけないですよね。①お子さんがどういうゲームが好きで②どれくらいの時間そのゲームをやりたくて③どれくらい熱意があるか、というのをコミュニケーションの中で事前に知っておきたいところです。

――「熱意」はハッとするポイントですね。習慣でついついやってしまっていたり、今のゲームは協力プレイがあったりするので、「断れずやっている」というケースもあるかもしれません。

奥谷 ゲームについて分からなかったら、お子さんがやっているゲームを実際に親御さんがやってみるのが手っ取り早いですよ。

そして上で挙げたお子さんの状況以外にも、ゲーム機やスマホ、タブレットには時間のコントロールができる機能がありますので、こういった技術的な知識も必要でしょう。

奥谷めぐみさんインタビュー風景

「〇歳ならゲームは〇時間までOK」という基準はない

――「どのくらい(何時間くらい)ゲームをしたいのか」というお話がありましたが、〇歳なら〇時間ぐらいゲームをしたらいいのかなどの基準のようなものはあるのでしょうか?

奥谷 これは「はっきりとした科学的な根拠がある」というほどまでには現時点では至っていません。分からない、という状態ですね。
分からないため、「お子さんの健康を害さない」がポイントになるのではないでしょうか。
お子さん自身にも毎日やるべきことがありますよね。睡眠、お風呂、食事といった体を健康に保つために必要なことや、宿題など日々やらないといけないことなどですが、これらを除いた自由な時間は一日にどのくらいあり、そのうちどのくらいをゲームに使いたいのか? という話ですよね。じゃあそれならうちは2時間が適切かな、と話を持っていく。

親子の約束(ルール)作りに求められる大人としての話術

――今お話しいただいた、「一日の余暇時間が〇時間あって、それをどれだけゲームに使いたいか」というのはもっともな話ですし、とても納得しました。

一方でこの「もっともな話」をしてもお子さんに反発されたり、話す前から聞く耳を持ってくれなかったりしそうだ、というケースもありそうですが、そういった場合どうすればいいでしょうか。

奥谷 いくつかあり、まずは親の「大人としての譲歩と話術」は必要ですね。子どもを一個人として尊重し、意見をくみ取るのは、お子さんより大人である親御さんの方が長けているはずです。
親が子どもに対し「約束を決めた、強制的に従いなさい」と言うのは簡単です。でも「じゃあこうやってみたらどうかな?」と子どもに聞けるのも、大人ならではですよね。
たとえば交渉術として、親としてはゲームの利用時間を1日1時間にしたいけど子ども本人は2時間といっている、といったときは「私は30分がいいと思うけど、あなたは2時間がいいと思うなら、じゃあ1時間でどう?」と持って行く。
まず否定せず子どもの話を聞くことですね。「あんたはできてないでしょ!宿題もやってないでしょ!」としたくなりますが、そこはぐっとこらえましょう。お子さんの特性や家庭環境によりますが、まずは「相互に意見を言い合う、聞き合おう」ということを親子で確認してから話してみてください。

ゲームの約束(ルール)作りを親子で「楽しく」やってほしい

奥谷 あと約束を作る時に、親子で楽しんで欲しいです。そもそも、ゲームに限らず、約束を考えようという親御さんは子育てに対して、真面目で熱心なんですよね。子育てにそんなに情熱がなければ「好きにやっといてよ」になると思うんです。
「今のままでうちの子は大丈夫か」という不安から、ついつい約束や制限を作りたくなる。一方これはお子さんにしてみれば、親が約束を作ると話が来れば、まあ、「来よったで…」と身構えてしまいますよね。

――真面目な親と、身構える子ども、ということで、始まる前から「うまくいかなそう」な予感がしますね……。

奥谷 はい。「約束を作る」こと自体が、そもそも「お説教」とつながりかねないところもありますよね。でもそれでは親子ともども、楽しくないですよね。
こんなときにぜひ「お約束メイカー」を活用してもらえればと思います。ポップに描かれた漫画調のストーリーなので冊子をコッソリとリビングの机の上に置いておくといいですね。子ども部屋の机の上だとちょっと露骨なので(笑)。
親子で話し合い、約束を作ること自体を楽しんでほしいです。こうしなきゃ、ああしなきゃ、ですと、親御さん自身もしんどいと思います。もうちょっと肩の力を抜いてほしいですね。

親子でスマホ・ゲームの約束作り

コミュニケーションが難しい時は、自分一人で解決しようとしないで外部に相談を

――約束づくりのポイントとして①親側の大人としての話術②親も子どもも楽しんで約束を作る、ということを挙げていただきました。

奥谷 他にもあり、「そもそもの親子の状況」はとても大きいですよね。 すでに親子間での話し合いが難しくなっているのに、ゲームの約束だけ作る、というのは難しいですよね。親子間でコミュニケーションがかなり難しくなっている、という場合は、自分一人で解決しようとせず、スクールカウンセラーやお住まいの地域の児童福祉委員など、相談できる機関を頼ってほしいです。

奥谷めぐみさんインタビュー風景

親子のゲームの約束(ルール)作りは、子どものこれからにも役立つ??

「親子でどう話し合いゲームの約束を作っていくか」について伺ってきました。この「話し合いを通じての約束づくり」の経験は、ゲームをするときだけ役に立つ、という狭いものだけではなくお子さんのその後の人生にも大きく役立つものになっていくと奥谷さんは話します

18歳成年年齢引き下げで、子どもに求められる「考える力」

奥谷 親側の一方的な約束ではなく、親子で話し合って約束を作った方がいいというのは、「子どもに考える力がつくから」というのもあります。というのも、2022年4月より「成年年齢が18歳に引き下げ」になりましたよね。

――それまで親の同意が必要だった「クレジットカードを作れる」「一人暮らしのアパートを借りられる」「ローンを組める」といったことも、18歳から親の同意なしでできるようになったんですよね。

奥谷 はい。ですがこれらは高額の消費です。それまで子どもは、学校では校則、家も親からの一方的な約束に従う、というのに慣れている人も多いはずです。それがいきなり18歳になったら「大人なんだから自分で考えろ」と放り出される形になるわけです。これは当人にしてみたらきついですよね

「考えさせる」ことが徹底されている海外

「親の考えに従わせる」で育ててきた子どもが、年齢だけ大人になったからといって、いきなり一人で考えられるようになるか、というのも難しそうですよね。子どもの段階から、どのように「考えさせる」教育をすればいいのでしょうか。ヒントは海外にありました。

「考えさせる」ことが徹底されている海外例その①「鬼がくるよ」は虐待?

奥谷 海外の教育現場や親子関係を見ると「子どもに考えさせる」ことを非常に重視しており、「子どもが約束に従うことを重視する」日本の方がむしろ珍しいケースなんです。
これは社会の仕組みも違いもあるでしょう。中国は女性も働くのが当たり前の社会なので自立心が重要視されていますし、アメリカは高校を卒業したら、働いて学費を貯めて大学に行くケースが多いんです。
また、オーストラリアでは税金、所得税の話を中学校の授業で習います。ここからは大人と同じ力があなたたちにも求められていると授業ではっきり伝えるし、国の制度を変えたいなら、自分たちで立ち上がらないといけない、と伝えるんです。
一方日本の場合、小さな子どもに対し「悪いことしていると、鬼がくるよ!」と子どもを脅すケースもあります。これは海外だと「人権侵害」にあたるものとみなされる可能性があります。子どもを脅し、意のままに操ろうとしていると。

――海外は相手が幼児であっても「考えさせる」をそこまで徹底しているんですね。

「考えさせる」が親子や学校間で徹底されている海外例その②お小遣いの範囲の違い

奥谷 さらに、欧米では、子どもにお金が必要ならお小遣いをあげるのではなく、不用品を売るバザーを開けばいいと親が言うんです。アメリカの幼児向けアニメ『おさるのジョージ』でもジョージが家の前でバザーを開くシーンがあります。
また、「お小遣い」の範囲が日本とかなり異なっているんですよね。お小遣いは日本だと「余剰品を買うためのお金」ですが、アメリカだと、学用品に必要なものも含め子どもに渡し、あなたがコントロールを誤れば学校で必要なものも買えなくなるので気を付けなさい、と親が伝えて渡すんです。
これまでお話してきた事例の根っこには「親が子どもの人格を認めている」という考えがあるんですね。一方、日本の親子関係において、子どもと親が従属関係のようになっているところはあるのかなとは思います。

家事に時間をかけるのも、日本特有の価値観

――日本はついつい「子どもは親の約束に従えばいい」となりがちな歴史的、文化的背景があり、そしてそれは世界的に見るとむしろ珍しいケースなのですね。

奥谷 はい。また「家事に対する価値観」も日本は特殊です。日本の子どものお弁当はすごいキャラ弁など、とても凝っていますよね。そこには「家事は家族を愛情で支えるための大事な仕事」という価値観があります。
でもこれも世界で見ると一般的ではありません。中国ですと、親が子どもに晩御飯は屋台で買っておいてと言ったり、フランスも夜ごはんが冷凍食品ばかりで調理をしばらくしていなかったり、みたいなケースを見ましたね。

奥谷めぐみさんインタビュー風景

家事で愛情を示す時間の一部を子どもと話す時間に

奥谷 日本と海外の比較をいくつかお話してきました。もちろん、海外の考えにも良し悪しがありますけれど、世界に目を広げると、日本で暮らす私たちが、無意識のうちについ選択してしまう以外の選択もある、ということを知るだけでも、見え方が広がりますよね。

――「凝ったお弁当を毎日作ってあげて、親としては子どもに愛情をかけているのに、子どもとの会話がない/何を話していいか分からない」という状況なら「お弁当は冷凍食品を使って時短にし、その分で子どもと話したり、子どもの考える力を育んだりする時間を増やす」という選択も取れますね。

奥谷 そうですね。食べるものはファーストフードでいいから、その分子どもと話したいですね。特に共働きの親御さんだと本当に忙しくて、お子さんが食べている間は静かだからその間に洗濯物をたたんでしまいたい!となってしまう気持ちは私自身とてもよくわかるのですが、お子さんとゆっくり話す時間を親がとれているのか、というのはとても大切です。

――今回のテーマは「ゲームの約束」ですが、ゲームの約束だけに限らず、ゲームをきっかけに親子で話し、子どもが自分自身で考えるきっかけの一つ、と捉えれば、それはお子さんのこれからの人生にとっても役に立つものになりますね。

問題行動の裏にある子どもの心理を見つめる

我が子に自分で考える力を身に着けてほしい、というのは多くの親御さんの願いだと思います。ですが親の立場にしてみれば、ついつい子どもの問題行動に目がいきがちになってしまうもの。スマホやゲームは問題行動が噴出する「現場」になりがちですが、奥谷先生は問題行動の裏にある心理を読み解いていってほしいと話します。

例:「5万円を投げ銭する中学生」は何を考えているのか?

奥谷 親御さんはついお子さんの問題行動に目が向いてしまいがちですが、問題行動の裏にある心理を読み解いていってほしいなと思います。
私の専門分野である消費生活を調査している際に驚いた話をしますと、あるYouTube番組の配信者に対して、スーパーチャット(以下スパチャ、オンライン上で視聴者が好きなYouTuberのライブ配信中に「投げ銭」ができるシステム)で、5万円もの大金を投げ銭した人がいたのですが、実はその人は中学生だったんです。投げ銭をされた番組配信者もさすがにまずいと騒然としました。5万円は、もしかしたら自分のお小遣いかもしれませんが、親のお金の可能性もあります。
ここで「5万円なんて馬鹿らしい、理解できない」で終わらせず、なぜその子は5万円のスパチャをしたいと思ったのかを考えてみる。承認欲求であったり、憧れの人に自分の名前を呼んでほしかったり、という思いがあるのではないか。それなら、スパチャじゃないところで、その欲求を満たせないのか?と考えてみる。原因をスマホやゲームだけに見るのではなく、その背景の気持ちを考えてみてほしいですね。

例:なぜ子供は親よりもネット上の悪い人に心を開いてしまうのか?

奥谷 ほかにも、ネット上の問題行動として、悪い大人とつながってしまう、というのも親御さんの心配ごとの一つだと思うのですが、こういう子どもとつながろうとする悪い大人は、人心掌握がうまいんです。
たとえば漫画やイラスト、文章などを発表している子どものSNSに対し、「あなたの作品がすごく好きです」と伝えたりするんですね。言われた子ども側にすれば自尊心を満たしてくれて、嬉しくなり、相手を信用してしまう。

――褒められれば大人だって嬉しいですもんね。こういう「うまいやり方」を見ると、親が「親の言うことを聞きなさい!」と子どもに言うのは、下手なやり方というか、子どもにしたら素直に納得できるものではないですよね。

奥谷 はい。「家族という人間関係にあぐらをかいてしまっていないか」というのは、特に親側は気を付けたいところですね。「家族という人間関係なら何をしてもかまわないだろう」という考えはモラルハラスメントや虐待にもつながりかねません。

子供のインターネットやりとりが心配

子どもの価値観の否定で話し合いは決裂!?

奥谷 お子さんの問題行動にある背景を読み解く、というのは今回のテーマであるゲームの約束にもつながってきます。親としては「子どもがゲームを使いすぎている状況をなんとかしたい」という事に目が取られがちなのですが、その背景にある子どもの状態、さらには、自分達の親子関係に着目する必要もあるのではないかと思います。

――ゲームは表面的に出ていることの一つであり、そうさせる大元には何があるのか、ということですね。

奥谷 そうですね。「ゲームなんて時間の無駄」と思われている親御さんもいるかもしれませんが、これはお子さんの価値観を否定しているとも言えます。人格や価値観を否定した相手とはもう約束は作れないんですよね。

親子で話し、考えてゲームの約束を作ろう

――ゲームの約束、が今回のテーマでしたが、約束を親子で考える、ということがお子さんのその後の人生、生活において「考える」きっかけにもなる、ということがよくわかりました。

奥谷 はい。親子で話し、考えて、楽しく約束作りをしていただければと思います。「お約束メイカー」は親子で話しながら約束を作る、というストーリー仕立てになっていますので、ぜひ活用してもらえればと思います。

POINTまとめ
  • 親子で「楽しく」約束を作ろう
  • 約束作りは子どもの考える力を引き出す
  • 問題行動の「背景」まで考えたい

POINTを意識して約束を作ってみる

子どものゲームの約束(ルール)を作る前に、親が考える事
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石徹白 未亜インタビュアー/ライター
石徹白 未亜
いとしろ みあ。ライター。ネット依存だった経験を持ち、そこからどう折り合いをつけていったかを書籍『節ネット、はじめました』(CCCメディアハウス)として出版。ネット依存に関する講演を全国で行うほか、YouTube『節ネット、デジタルデトックスチャンネル』、Twitter『デジタルデトックスbot』でデジタルデトックスの今日から始められるアイディアについても発信中。ホームページ いとしろ堂
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