親子でスマホ・ゲームお約束メーカー
インタビュー
2022年6月30日

ゲームを理解して子どもの課金トラブルを未然に防ごう!

ゲームに関する課金トラブルが増えているみたいだけど、どうしたらいいのかなぁ?

スマホやゲームに疎い親ができる対処方法について聞いてきたぞい!

増加する課金トラブルの実態と今すぐ親ができる対処方法は?

子どもが「ゲームに課金したい」と言ってきた時、ゲームをまったくやらない親であればどうしていいかわからなくなりますよね? 子どものゲーム課金のトラブルや親が知っておくべき事、そして課金トラブルがおきてしまった時に対処するための方法についてITジャーナリスト・成蹊大学客員教授高橋暁子様にお話しを伺いました。

もくじ
高橋 暁子さんプロフィール高橋暁子さんプロフィール
ITジャーナリスト。成蹊大学客員教授。SNSや情報リテラシー教育が専門。SNSや情報リテラシーに関する書籍を多数上梓する他、テレビ、雑誌、新聞、ラジオ等のメディア出演、全国の小中高校大学、自治体、団体、企業などを対象に毎年 50回ほどの講演・セミナーも開催。教育出版中学2年生の国語の教科書にコラム掲載中。令和2年より「青少年を取り巻く有害環境対策の推進」技術審査委員会技術審査専門員(文部科学省より委託)等、省庁からの依頼も多い。 ホームページ/Twitter

ゲームの課金に関するトラブルって増えているの?

講演会や書籍の執筆、メディアへの出演などを通してゲームの課金に関するトラブルについて啓蒙活動を続けられている高橋さんにまずは、ゲームの課金トラブルの実態を教えていただきました。

コロナ禍で課金トラブルは増加の一途を辿っています

――ゲームの課金トラブルに関するニュースをしばしば目にしますが、実際、課金トラブルは増えているのでしょうか?

高橋 コロナ禍で子供が家でゲームを遊ぶ時間が増えたことで、課金に関するトラブルも増加しています。 国民生活センターによるとゲームの課金に関する相談は、コロナ禍で大幅に増加しており、2020年は小学生の子を持つ親御さんからの相談が前年比で約1.6倍、中学生の子を持つ親御さんからの相談が前年比で約1.3倍と、増加の一途を辿っています。

【参考資料】子どものオンラインゲーム課金のトラブルを防ぐには?(独立行政法人 国民生活センター)

パソコンやタブレットに触れる機会が増えて課金が身近なものに

――親が子どもにゲームの課金やゲームそのものを禁止しているご家庭もあるかと思いますが、そういったご家庭でも課金トラブルは発生するものなのでしょうか?

高橋 親御さんがゲームを制限していたご家庭でも、しばらく学校に行けない時期が続いたり、友達と気軽に遊べない期間があったりしたことで「かわいそうだから」という理由で制限を解かれたことが結果的に課金トラブルの増加につながっている例もあるようです。
また、2020年に入って小学生や中学生ひとりにつき1台のパソコンやタブレットを整備する『GIGAスクール構想』がスタートしたことで、子どもにとってパソコンやタブレットがより身近な存在になったことも要因となっています。
学校で課金トラブルに関する指導が行われているところもあり、ネットリテラシーの専門家を招いての講演なども行われたりしていますが、子どもがゲームに課金したいという想いは強いので、課金トラブルを未然に防ぐためには、親御さんのゲームに関する理解や、子どもとのコミュニケーションが必要不可欠となります。

過去にあった子どもの課金トラブルに関する実例

コロナで子どもが家にいる時間が増えたり、『GIGAスクール構想』でパソコンやタブレットが身近になったりしたことで課金トラブルが増加している中、実例としてどんなトラブルが起きているか高橋さんに伺いました。

子どもが親のスマホで遊んでいるうちに課金していた

高橋 未就学児童(幼稚園児・保育園児)や小学校低学年の子どもの場合、親御さんのスマホを使ってゲームを遊んでいるうちに、気づかずに課金していたケースが挙げられます。親御さんがゲームにログインしたまま放置していたスマホで子どもが遊んでいるうちに課金されていたというケースですね。この場合、子どもが意図的に高額な課金を行ったわけではないので、親御さんがしっかりとスマホを管理していなかったことが問題になります。
共有のゲーム機や契約の切れた中古のスマホやタブレットでも、クレジットカードを紐付けたアカウントからはログアウトしておかないと、やはり勝手に子供が課金するトラブルが起きるので注意してください。

子どもが親のスマホで遊んでいるうちに課金していた

親のクレジットカードやキャリア決済でいつの間にか課金していた

高橋 一方で小学校中高学年の子どもや中高生は、親のクレジットカードで勝手に課金をしてしまったり、携帯電話会社のキャリア決済を使って、こっそり課金していたりといったケースもあります。親のクレジットカードが使われたケースですと、ほとんどの場合、親御さんがクレジットカードを子どもの目に見える場所に放置していたり、パスワードが子どもで推測できるようなものだったりと、カードの管理に問題があります。
また、小学校高学年くらいからは自分のスマホを持ち始めることが増え、子どもが携帯電話会社のキャリア決済を勝手に利用しているケースもあります。 親御さんがクレジットカードや子どものキャリア決済の明細をしっかりと確認していなかったことで、子どもの課金に気づかずにいたというケースも多いので、早めに気づくことが大切です。

親が子どもの課金トラブルを防ぐ為にすべきことって?

課金トラブルの実例についてお伺いする中、高橋さんは「親がスマホそのものやクレジットカードの管理を徹底することが大事」とお話を続けられます。

クレジットカードの管理を徹底し、明細は必ず確認しましょう

――どうすれば子供の課金トラブルを防ぐことができるのでしょうか?

高橋 まずは親御さんがご自身のスマホやクレジットカードの管理をしっかり行われることです。 私自身、ゲームを遊んでみたりもしましたが、課金をすると強くなったり、見た目を変えられたり、ゲームの進行が円滑になったりと、課金をしたくなるポイントがたくさんあります。課金している友だちも多く、子どもが「ゲームに課金したい」と思うのは当然なのです。 子どもが勝手に課金してしまわないよう、クレジットカードのパスワードをご自身の誕生日や電話番号、住所などといった子どもが容易に想像できるものにしないようにしたり、クレジットカードを紐付けたアカウントからはログアウトしておいたり、クレジットカードを子どもの目が届く場所に放置しないようにしたりすることが大切です。
また、クレジットカードやキャリア決済の明細を毎月確認することも忘れないでください。先ほどもお話したように、明細を確認していなかったことで長期に渡って、子どもがゲームに課金し続けていたというケースもあります。
お小遣いでプリペイドカードを購入して課金していることもあるので、子どもの利用状況はしっかり見守る必要があるでしょう。

ペアレンタルコントロール機能で子どもがゲームを遊ぶ時間や課金を管理

高橋 スマホや課金ができる家庭用ゲーム機には、課金や遊ぶ時間を制限するペアレンタルコントロール機能というものが備わっています。親御さんがスマホやゲーム機の機能を理解して、課金や遊べる時間を設定することも大事です。「スマホやゲーム機の操作が苦手」という親御さんもいらっしゃるかと思いますが、その場合は、お父さんが苦手ならお母さんが、お母さんが苦手ならお父さんが、おふたりとも苦手なら詳しい友人や知人に頼るなど、「苦手だから」とあきらめずにペアレンタルコントロール機能を活用してください。

ペアレンタルコントロール機能で子どもがゲームを遊ぶ時間や課金を管理

ゲームに興味がない親がやるべきことは?

課金トラブルを未然に防ぐためにはゲームやスマホ、ゲーム機について理解することも大事だと語る高橋さん。ゲームに興味がない親御さんも多い中、親がゲームについて事前に知っておくべきことについて、さらに詳しく伺いました。

子どもが遊んでいるゲームを親も遊んでみる

――ゲームに興味がない親御さんが知っておくべきことについて教えてください。

高橋 子どもが「ゲームに課金したい」と思う気持ちを頭ごなしに否定するのではなく、話を聞いて理解してあげることが大切です。先ほどお話しさせていただいた「スマホやゲーム機は苦手」と拒絶してしまう例とも重なりますが、「ゲームはやらないので」と理解することをあきらめずに、子どもが遊んでいるゲームを触ってみてください。
例えば、オンラインでたくさんのプレイヤーと一緒に遊べるゲームですと、自分が操作するキャラクターの見た目も子どもにとっては重要な要素です。あるゲームではログインするたびにキャラクターの見た目が変わってしまい、一緒に遊んでいる他の子どもたちと円滑なコミュニケ―ションが図れなくなり、仲間外れにされてしまうこともあります。課金すると見た目を好きなものに固定できるため、友だちに認めてもらいたくて課金したい子が出てくるというわけです。

――アバター(見た目)は、ゲームを通したコミュニケーションにおいて大事な要素だと思いますが、実際に遊んでみないとどう重要なのかわかりませんよね?

高橋 そうですね。ゲームを遊んでみないとわからないと思います。でも、ゲームを少し遊んだだけでもわかることなので、例えば課金を制限しているご家庭でも、子どもから「友だちと遊ぶためにキャラクターの見た目を変える課金をしたい」という訴えがあった時、「それじゃあ、見た目を変える課金はしてもいいよ」と目的を理解した上で許可してあげることもできます。

わからないことは子どもに聞いてみよう

――親がゲームをプレイする際、普段ゲームをプレイしていないとわからないことも多いと思いますが、そういった場合はどのような対処方法が考えられますでしょうか?

高橋 一番良いのは子どもに聞くことです。子どもは自分が好きなことについて話せることを喜びますし、普段偉そうにしている親にゲームのことを教えてあげることで優越感も覚えます。ゲームを通して、より深く子どもとコミュニケーションをとることもできるようになります。

子どもが課金トラブルを起こしてしまった。その時、親がとるべき対応は?

課金トラブルを防ぐための方法について高橋さんに伺いましたが、それでは実際に課金トラブルが起きてしまった時、どうすれば良いのか、対処方法も教えていただきました。

親と子でトラブルの原因を確認し、新たなルールを作る

高橋 頭ごなしに叱らず、どうしてトラブルが起きてしまったのか理解して、子どもと話し合うことですね。親のクレジットカードが使われてしまった場合は、クレジットカードの管理が杜撰だった親の側にも問題があります。
「ゲームへの課金は悪いこと」と決めつけずに、子どもの話もしっかりと聞いてあげてください。その上で、トラブルが起きてしまったら、あらためて課金に関する約束事を決めて、「課金したい時は毎回相談する」といったような最低限のルールを作ることが大事です。 頭ごなしに叱ったり、「ゲームへの課金は悪いこと」と決めつけたりしてしまうと子どもはこっそり課金するようになるので、否定せずにルール作りをするようにしてください。

早めに消費生活センターへ相談しよう

――課金トラブルが高額な場合、子どもとの話し合い以外に親ができることはあるのでしょうか?

高橋 まずは、早めに消費生活センターに相談してください。未就学児童が誤って課金してしまった場合などは、未成年者契約取消が認められることもあります。どうしてもケースバイケースにはなってしまうと思いますが、全国に消費生活センターという相談窓口があることは知っておいていただければと思います。

子どもの気持ちを理解してルールを作ろう

最後に、子どもの課金トラブルを防ぐため、ガンホーが公開している『親子でスマホとゲームのお約束メイカー』を高橋さんに体験していただきました。

『お約束メイカー』なら悩まずルールを作ることができます

高橋 これまで課金トラブルについていろいろなところで講演してきましたが、「親子で課金についてのルールを決めてください」とお伝えしても、「何をどう決めたらいいのかわからない」と悩まれてしまう親御さんもたくさんいらっしゃいました。

その点、『お約束メイカー』は、子供と一緒に具体的なルールを作っていけるところが良いですね。『お約束メイカー』で子供と一緒に作ったルールは、親御さんが強制したものではないので、子供も納得して受け入れることができますし、冊子にしてプリントアウトもできるので、親子で手軽に再確認することもできるのもメリットだと思います。
課金に関するルールを決める時、一番大事なことは子どもの気持ちを理解してあげることです。『お約束メイカー』は、その一助になると思いますので、子どもの課金トラブルに遭われたことがある親御さんや、不安を抱かれている親御さんはぜひ活用していただければと思います。

高橋暁子さんインタビュー風景
POINTまとめ
  • 課金トラブルは増加の一途を辿っている
  • クレジットカードの管理を徹底
  • ペアレンタルコントロールを活用
  • 子どもが「課金したい」と思う気持ちを理解しよう
  • 親と子の双方が納得できるルールを一緒に作る

POINTを意識して約束を作ってみる

この記事もオススメ子どもがゲームの約束を守らない原因とは?対策をご紹介!
子どもがゲームやスマホの約束を守らず悩まれている親御さんも多いのではないでしょうか。特に小学校高学年くらいになると「しつけ」から「教育」へと移り変わる時期でもあります。子どもとスマホの問題を見つめる専門家にポイントを伺います。
斎藤ゆうすけインタビュアー/ライター
斎藤 ゆうすけ
さいとう ゆうすけ。ライター・放送作家。大学在学中よりゲームメディアで記事の執筆を行い、現在はテレビやラジオの放送作家として活動。バンタンゲームアカデミーおよび東放学園映画専門学校にて、講師としてゲーム関連の講義も担当しており、バンタンゲームアカデミー高等部eスポーツ専攻ではプロゲーマーを目指す高校生向けにネットリテラシーの講義も行う。活動に関する告知はTwitter『斎藤ゆうすけ(アニゲウォッチャー)』にて発信中。
twitter
facebook
LINE