子どもが友達にゲームのアイテムを奢りまくっていたみたい!!
逆に「ねだりまくってる」ケースもあるのじゃ!対応策を学ぶゾイ!
- 八木陽子さん
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株式会社イー・カンパニー代表取締役 キッズ・マネー・ステーション代表(https://www.1kinsenkyouiku.com/) ファイナンシャルプランナー、キャリアコンサルタント。2005年からお金教育・キャリア教育を普及する「キッズ・マネー・ステーション」を主宰し、所属する全国の講師たちと共に、小・中・高等学校にて授業や講演をしている。監修した書籍は「10歳から知っておきたいお金の心得」「マンガでカンタン!お金と経済の基本は7日間でわかります。」など多数。
食べ物やお菓子の奢り合いは古くから見られましたが、最近ではゲームアイテムや課金アイテムのやり取りが新たなトラブルの原因となっています。これらの行為は一見、友情の証に見えますが、無自覚に金銭感覚を歪める可能性もあるため注意が必要です。
今回は、そんな令和の小学生の奢り奢られの実態について、キッズ・マネー・ステーションの八木陽子さんにお話をお伺いしました。
令和の小学生の奢り・奢られの実態
ゲームやスマホを通じて、親世代が子どものころには存在しなかったサービスを活用している令和の小学生たち。令和の小学生たちには、どのような奢り奢られの実態があるのか尋ねました。
「スマホでピッ!」かんたん操作で奢ってあげている自覚ナシ?
八木:ちょっと前までは子どもも、私たち大人と似た感覚で奢ったり奢られたりしていたんだと思います。
ですが、最近の相談を見ると、子どもたちに「奢ってあげている」というより「なんか、スマホをピッってしたら買えたから」という軽い感覚で奢っているんですよね。「スマホでピッ」で出ていくお金は、お父さんお母さんが頑張って働いて稼いだお金、という感覚が薄いのでしょう。
交通系ICカード、バーコード決済サービスに要注意!
八木:小学校低学年ですとスマホを持っているお子さんは少ないですが、チャージした交通系ICカードを持たせているケースはありますよね。あるご家庭では、「学童の帰りにおなかが空いたら、おやつをコンビニで買っていいよ」、と多めにチャージした交通系ICカードを渡していたそうです。ある日、残高がガクッと減っていたので、お子さんに聞いたら、友達に羽振り良く奢っていたことが分かった、というケースもありました。
高学年になるとスマホを持つお子さんも増えており、バーコード決済アプリを利用するケースも増えてきています。バーコード決済は簡単スピーディーで、大人にとっては便利なのですが、一方でお金についてまだ「練習中」の子どもたちからすると、物を買っている実感がわきにくいところもあるようです。
奢り・奢られなど、子どもとお金にまつわるトラブル事例
奢り・奢られトラブルをはじめとした、令和の小学生ならではのお金にまつわるトラブル事例についても伺いました。
うちの子どもが友達に「クレクレ」していた!
——自分の子どもが友達に対し、「奢って!」とか「このゲームアイテムをちょうだい!」とねだっていたことが後からわかった、というケースも聞きますね。
八木: 物をいっぱい買ってもらっていたり、気前のいい友達がいたりすると、「僕/私にもちょうだい」とねだって、子ども同士で約束を取り付けていたケースは聞きますね。
ですが、「そのお金は友達のお父さんとお母さんがその子のために渡しているのだから、友達のお金で他人の自分が何かを買ってもらうのは違うよ」、と我が子に話をすることが大切です。
親にゲームアイテムをねだれないから、友達にねだっているケースも
——対象がオンラインゲームのアイテムになると、ゲーム課金をさせない方針の家庭の子が課金OKの方針の家庭の友達にゲームアイテムをねだる、という状況もあるようですね。
八木:それぞれの家庭の方針がありますからね。「うちではゲームにお金を使ってほしくない」という家庭の場合、お子さんに対しては「ダメ!」ばかりではなく、「ゲーム課金は許可できないけれど、我が家はここにお金や時間をかけている」ということをお子さんに具体的に伝えていくことも大切だと思います。
——「よそはよそ、うちはうち」で済まさず、根拠を説明しておくことが大切ですよね。
八木:また逆に、自分の子どもが友達に過剰に「奢る側」「あげる側」になっていた、という場合もあります。このときも「友達に誕生日プレゼントを自分のお小遣いであげるのはいいと思うけど、それ以外の日で、理由もないのに友達に物をあげたり、奢るのは違うよね」とは伝えたいですよね。
※過去のインタビューでは230万円課金してしまった小学生のご両親にお話を聞いています。このお子さんの場合も「オンラインで仲良くなった友達に有料アイテムを奢っていた」金額が多かったようです。
https://anshin-game.jp/promise/report/240820.html
フリマアプリで、子ども自身も「稼げる」時代
八木:お子さんが子役として働かれていて、お子さんが稼いだお金はどう扱うとよいのか?という、ユニークなご相談をいただいたことがありました。
今は子どもがフリマアプリなどを活用して家の不用品を売ったりするケースもありますよね。うちの娘もやっています。「子ども自身がインターネットのサービスを通じて稼ぐ」ことは、今はとても身近なことなんですよね。
——親世代のころは、中学生以下の子どもが「稼ぐ」ことはほとんどできなかったですもんね。
八木:はい。ただ未成年はお金の使い方について、まだまだ練習中です。トラブルに巻き込まれないためにも、 インターネットのサービスを通じて稼いだお金については、どのように使うのか親御さんと話し合ってほしいですね。
私も娘に、うるさくならない程度に、「今、フリマアプリの売り上げの残高どれくらいなの?」と聞いていますよ。「娘のスマホにログインして……」まではやりたくないので、気がつかない程度に見守っている感じですね。
お金ではないが、お金に近いもの ~子どももポイ活に夢中
八木:お金ではないですけど、「ポイ活」もお金に近いものですよね。今は、動画を見たらポイントがもらえるといったサービスも多くあります。
——こういったものも、ポイントがもらえるかわりに時間や手間を提供していますよね。
八木:はい。このように、日々様々な新サービスが出てくるので、お子さんに対し「どうしてるの?」と聞ける間柄であることが大切です。あまりうるさく言うと、「親がうるさいからこっそりやろう」になってしまうので、匙加減は難しいのですが。
子どもは大人より新しいサービスに飛びつくのはずっと早いですが、一方で、友達からの間違った情報を鵜呑みにして、誤った使い方をしていることもあったりします。トラブルに巻き込まれないためにも、親子で話し合えることがとても大切ですね。
子どもとお金について親として求められる対応策
日々様々なお金にまつわる新しいサービスが出てくる中、親としてはどのような対応策が求められるのでしょうか。
スマホやアプリ、ゲームを「はじめて利用させるとき」は説明とセットで
八木:親御さんの対応策として、交通系ICカード、バーコード決済アプリ、そして課金する可能性もあるアプリ、ゲームなど、お金にまつわるものを「子どもに新しく使わせるとき」には「お金についてしっかり話すこと」をセットにしたいですね。
難しく考えなくても大丈夫です。それこそ3歳ぐらいのお子さんでも、レストランの待ち時間などで、子ども用のアプリを入れたスマホを渡す時などがありますよね。そのときも「このアプリのここ(課金ボタン)を押すと、お金が必要になるから押さないでね」「お金って、お父さんお母さんが働くことで手に入る大事なものなんだよ」と伝えていきたいですね。
大切なのは、わかる、わからないは置いておいて、「日々伝えていくこと」なんです。こういうことって、ある日突然、いきなり理解できるものではないので。お子さんが大好きなゲームも、はじめるのは無料でも、欲しいアイテムは有料なものは多いですから、スマホやゲームを通じて、お金にまつわる話はいくらでもできると思います。
1回の金額が少なかったりすると、「くどくどいってもなぁ」「面倒だな」と思ってしまうお気持ちはよくわかるのですが、お金の話は「1回言えば理解する」というものでもないので、「日々伝えていくこと」を意識してみてください。
お金に対する約束を作るだけでは不十分?約束以外に大切なこととは
——親子でお金にまつわる約束も作った方がいいですよね。
八木:はい。もちろん約束づくり、ルール作りも大切です。ですが、すべてを約束で防ぐのも難しかったりもします。その理由は、スマホやゲームに関わることは次から次に新しいサービスが出てきてしまうからです。
——思えば、バーコード決済も最近のサービスですよね。
八木:そうですね。ですので、日常生活の中で、お金について家族で話していくことも欠かせません。「お母さんは普段はあんまり無駄遣いしないけど、家族で旅行に行くためのお金は使うよ」といった感じですね。
こういったお金やお金に関する価値観の話が普段からできていれば、お子さんが友達との間で、過剰な奢り奢られのような状況に直面した際にも、「本当にこういう使い方していいのかな?」とちょっと考えると思うんですよね。
あとからとんでもないことにならないように「入金額」「入金方法」を確認
八木:また、お子さんが新しいスマホアプリやゲームなどを利用する際は、親御さん側で、そのアプリはお金がかかるサービスなのかという確認と、お金がかかる場合「入金額」「入金方法」も事前に確認してください。
——ゲームアプリの場合「基本無料だが、便利に進めたいなら有料」のケースも多いですから、どこで有料のタイミングが来るかは調べておきたいですね。
お約束メイカーを活用して、お金の話をしよう
八木:お金に対する会話の重要性について触れましたが、とっかかりという点でお約束メイカーを使ってもいいと思います。
3歳~5歳児くらいのお子さん向けに、今は「お金をテーマにした絵本」もあるんですよ。ただ小学生ぐらいになると絵本を読み聞かせる感じでもなくなってきますので、お約束メイカーを活用するのはいいですね。
- POINTまとめ
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- 子どもはお金の使い方を「まだ練習中」である、と親は肝に銘じたい
- お金の価値は一日では分からない!日々お金の話をしよう
- 新しいゲームやアプリを使わせるときは、お金について必ずチェックと説明を
- インタビュアー/ライター
石徹白 未亜 - いとしろ みあ。ライター。ネット依存だった経験を持ち、そこからどう折り合いをつけていったかを書籍『節ネット、はじめました』(CCCメディアハウス)として出版。ネット依存に関する講演を全国で行うほか、YouTube『節ネット、デジタルデトックスチャンネル』、Twitter(X)『デジタルデトックスbot』でデジタルデトックスの今日から始められるアイディアについても発信中。ホームページ いとしろ堂