クリスマス、お年玉……、親にとってはつらいシーズンだわ!
この時期はお金について親子で考える絶好のチャンスじゃゾイ!
- 八木 陽子さん
- 株式会社イー・カンパニー代表取締役 キッズ・マネー・ステーション代表 ファイナンシャルプランナー、キャリアコンサルタント。2005年からお金教育・キャリア教育を普及する「キッズ・マネー・ステーション」を主宰し、所属する全国の講師たちと共に、小・中・高等学校にて授業や講演をしている。監修した書籍は「10歳から知っておきたいお金の心得」「マンガでカンタン!お金と経済の基本は7日間でわかります。」など多数。
クリスマス、お正月と、お子さんからプレゼントをリクエストされているご家庭も多いのではないでしょうか? もし、子どもからのリクエストが「ゲーム課金」だったら…?今回は全国の小中学校を中心に、お金の授業を実施しているキッズ・マネー・ステーションの八木陽子さんにクリスマス、お年玉に向けた心構えを伺います。プレゼントにお悩みの親御さんはぜひ参考にしてください。
「課金」のプレゼントに抵抗を感じる理由とは?
プレゼントに「課金」をリクエストされ、複雑な心境の親御さんもいるのではないでしょうか。なぜ、このような気持ちになってしまうのか伺いました。
課金に抵抗を感じてしまう理由2つ
八木:「プレゼントは課金」に、プレゼントを渡す側が抵抗を感じるのもよくわかります。プレゼントは本来金額の大小は関係ないはずなのに、 課金だと「〇〇円」と金額が露骨に目に入ってしまいますからね。
また、課金のプレゼントは形に残らないというのも、抵抗を覚えるのかもしれません。「家族でどこかに行く」というのも形には残りませんが、家族の思い出が残ります。ですがゲームの課金の場合、渡された子どもの中でだけ消化されてしまいますから。

子どもに「あげる」経験をさせたい
八木:そもそもですが、クリスマスは子どもが「もらう」ばかりでなく、家族がそれぞれプレゼントを贈りあうようにしてもいいと思います。
あるお子さんが、クリスマスが近づき、「おじいちゃんとおばあちゃんにはこれを買ってもらう、親にはこれ、サンタさんにはこれ」とリスト化していたというお話を伺ったことがあるのですが、もらうことで頭がいっぱいになってしまっているんですよね。
ですが、もらうばかりでなく、子ども自身が人にプレゼントをすれば、物の値段を知るきっかけになりますし、さらに相手が喜んでくれて嬉しい、という「あげる喜び」を知ることができます。
クリスマス→お年玉の子どもバブル!もらいっぱなしの弊害とは?
――クリスマスから10日も経たずに、今度はお年玉がやって来ますからね。
八木:年末年始、子どもだけがバブル状態ですね。この時期に親戚一同から多くプレゼントをもらうお子さんがいて、冬休みが明けるころでも、まだ開封していないプレゼントが部屋にあったというお話も伺いました。
――たくさんもらいすぎて、「もらう喜び」も感じにくくなっているようにも思えます。
八木:はい。無制限に子どもにお金やものをあげていくことが、その子の幸せにとって本当にいいことなのか考えてみるのもお金の教育だと思います。

ゲーム課金は絶対NG!のご家庭はどうする?
子どものゲーム課金は「絶対NG」という方針のご家庭もあるかと思います。この場合、どう親子で話し合えばいいのでしょうか。
ゲームの課金や、ゲームそのものがNGな家庭が気を付けるポイント
八木:我が家も夫が厳しく、息子のゲーム課金というより、ゲームそのものの解禁が高校に入ってからだったんです。
かなり厳しかったため、その分、以下の3点は意識していました。課金NGの場合にも参考になるのではないかと思います。
①ゲームの代わりを用意する
我が家はゲームの代わりに本 なら漫画も含め、いくらでも買ってあげる、としていました。本、漫画のジャンルも、有害・暴力的と思われるもの以外は、特に制限していませんでした。「ゲームはダメだけど、ここは惜しまないよ」というものを用意したいですね。
②販売者側がどう思っているか、という目線を伝える
子どもは「消費者」としての目線しかないので、「モノを売る側は何を考えているか」、ということも伝えるようにしていました。ゲームは「大人でもつい課金してしまう仕組みになっているから、子どものうちはまださせられない」、と伝えてもいいですね。
③伝統的なゲームを楽しむ
息子にテレビ、スマホ系のゲームを解禁できなかった時期には、将棋をやらせていました。結果的には、アマチュア段位を取ることができました。将棋を通じ「ゲームとは何か」を考えさせることで、テレビゲームを解禁した時に、ゲームを見極める目もつくと思ったからです。
とにかく「説明」が大切
――全てにおいて「子どもにきちんと、何度も説明する」が基本であり、最重要ポイントですね。
八木:はい。理屈を話せば、 1回ですんなりわかるかどうかは分かりませんが、子どもなりに受け止めてくれるかもしれないですよね。小中学生くらいならまだ素直ですし。
――「子どもだから分からないだろう」ではなく、そこは説明を惜しまずにということですね。
八木:そうですね。逆に説明をしないと、子ども自身が納得できないから親に隠れてゲームやスマホをして、より大きなトラブルにもつながりかねません。子どもの気持ちを受け止めた上で、親の考えを話す方がゆくゆくは良いと思います。
ご家庭の方針で子どもにゲームをさせない場合、「ゲームができないなら遊ばない」と友達に言われるなど、様々なことが子どもの間で起こってきます。そのときに子どもなりに 自分の家の方針と友達の家の方針が違って、しょうがない、ということがうっすらでもわかると納得感がありますよね。やはり、十分な説明をせず「頭ごなし」は良くないと思います。

どうする!お年玉問題
クリスマスが終われば10日足らずでお正月です。お年玉をお金の教育の機会にするためのポイントについて伺いました。
お年玉にまつわる親子の深い溝
八木:「お年玉を親に取られた!」と根に持っているお子さんは少なくないですね。一方、親御さんは一方的に奪っているのではなく、子どもの将来のために貯金していたりして親子間でギャップが生じています。これも、親御さん側の説明が十分でないのかなとも思います。
そもそもお年玉も、親は別の親戚の子どもにお年玉をあげているなどの「持ち出し」がありますよね。
――「親側のほかの子どもへの支出があっての、子どものお年玉」という構図に当の子どもは気づいていないですよね。
八木:はい。子どもは「自分がもらったお年玉」という意識が強いため、ここも十分な説明が必要だと思います。
またお年玉は全額が大きいですから、子どもに全額渡さないのは当然だと思います。ですが、その場合も「今後、塾とか大学の費用がかかるから、将来のために貯めておくね」と伝えた方がいいでしょう。
また、当然年齢によって欲しいものも増えてきます。1,000円で大喜びしていた小学生の感覚を中学生になって続けても、当然子どもは納得しませんよね。成長に応じた軌道修正も大切です。
マネしたい!ユニークなお年玉の渡し方
八木:お年玉をどう渡すかはご家庭それぞれで、お年玉をお小遣いの原資として、12で割り、毎月渡しているというご家庭のお話を伺ったことがあります。
ほかには、お小遣いの足しとして子ども自身がもらうお年玉と、親に管理してもらうお年玉の配分を子ども自身が決めていたケースがあります。どちらも親子で信頼関係が構築されていたのでしょうね。
――どちらのケースも、お子さんがお金についての手ごたえをつかんで、日々生活している様子が伝わり、頼もしいですね。

親子でお金の管理を「ゆるく」始めよう!
――お金について子どもに「きちんと説明する」大切さを痛感しますが、一方でそれに難しさを感じる親御さんも多いと思います。
八木:親御さん自身も家計簿で挫折したことがあるとか、お金の管理において自信がないところもあるのかもしれません。子ども向けのセミナーでお金の管理について話をすると、後ろで見ていた親御さんから「自分も家計管理をがんばろうと思いました」といただくことも多いです。
――親自身がきちんとできていないことを、子どもに言えないという感覚はよくわかります。
八木:ですので、親子それぞれでお金の管理を始めるのをお勧めします。ポイントは「ゆるくて大丈夫」です。真面目な人ほど、100%しっかりきっちり管理しなきゃだめだ!となりがちなんですよね。
――お小遣い帳も家計簿も挫折経験があるのですが、後ろの残された真っ白なページを見ると自己嫌悪してしまうんですよね。
八木:ゆるく「年間●万円は貯金に回す!」と決め、そこだけを気にする、でいいですよ。「家計簿やお小遣い帳で厳密にお金を管理しましょう」ではなく、「自分が続けられるお金の管理方法を見つけましょう」です。また、家計簿もお小遣い帳も今はたくさんアプリもあるので、使いやすいアプリがないか試してみてもいいでしょう。
親子で一緒にお金の管理をゆるく続けていき、その上で、「お金のことで困ったことがあったらいつでも相談してね」と約束を結んでおけるといいですね。
- POINTまとめ
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- 「もらう喜び」以外に子どもに「あげる喜び」も教えたい
- 「お年玉、親に取られた問題」は親の説明不足かも
- 親子で「ゆるく」お金の管理を始めよう。家計簿、お小遣い帳なしでも大丈夫!
インタビュアー/ライター
石徹白 未亜- いとしろ みあ。ライター。ネット依存だった経験を持ち、そこからどう折り合いをつけていったかを書籍『節ネット、はじめました』(CCCメディアハウス)として出版。ネット依存に関する講演を全国で行うほか、YouTube『節ネット、デジタルデトックスチャンネル』、Twitter(X)『デジタルデトックスbot』でデジタルデトックスの今日から始められるアイディアについても発信中。ホームページ いとしろ堂