最近ママ友の間でスマホやSNSトラブルの話題ばかり。学校に相談しちゃっていいかなあ?!
むむ、先生方も「どこまで介入するか」で悩んでおる。今回は現役教員の本音から、学校が助けてくれる範囲と家庭で守るべき「境界線」をしっかり学んでいくゾイ!
- もくじ
- 先生方のプロフィール
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今回お話を伺ったのは、ガンホーの「ゲーム・スマホのトラブル対策オンライン講座」をご体験いただいた、ある小学校のA先生、B先生、C先生です。
こちらの小学校では、GIGAスクール構想によりデジタル機器を全児童に貸与しています。また、個人のスマホ持ち込みは保護者からの申請があれば許可されていますが、「校内や通学路ではランドセルから出さない」という約束のもと運用されています。
GIGAスクールの始動以降、小学校の教育現場においてタブレットなどのデジタル機器は「鉛筆やノート」と同じくらい欠かせない存在になりました。しかし、その一方で、学校で貸与されたデジタル機器で動画を視聴したり、ゲームで遊んだりなど、学習とは関係のない使い方がされてしまうことも新たな課題になっています。
さらに、児童個人のスマホやSNSを通じたトラブルが学校生活にまで影響を及ぼすケースも増えており、「学校に相談していいのかな?」と悩む親御さんも多いのではないでしょうか。
今回は、日々子どもたちと向き合っている現役の小学生教員の皆さんに、実際に起きているトラブルの実態や、「学校と家庭が連携して解決できること」「家庭内で解決してほしいこと」という本音の境界線について伺ってきました。GIGAスクールならではの問題に悩んでいる親御さんは参考にしてみてください。
小学校で実際に起きているデジタル機器トラブルの実態
子どもたちの間でどのようなトラブルが起きているのでしょうか。さっそく先生方に現場のリアルな声を伺いました。
「スマホ持ちたて」の5年生はトラブル続発!

A先生:私の経験上、スマホデビューをする子が増える5年生のトラブルが多かったです。もっと小さな頃からスマホを利用している子は、失敗経験などもあって「こんな使い方したらまずい」という感覚をすでに身につけているんですよね。
しかし、5年生スマホデビュー組は、とにかくスマホが使いたくて仕方がない。その感情のままに行動するので、LINEなどのSNSのグループをどんどん作ってしまうんです。その勢い任せの行動の中から、いじめにも繋がってくるような言動も出てきてしまうんです。
——学校としては、どのような対応をされるのでしょうか。
A先生:そういった行動や言動について、学校でも何度も何度も子どもたちと話し合いをしました。そして6年生になり、今年も似たようなことになるのかなと思っていましたが、意外なことに大きな問題はなかったんですよね。根気よく伝えたことで、子どもたちが理解してくれたのだと信じたいです。
B先生:5年生だと、まだ自分専用のスマホを持たない子どもも多く、保護者のスマホのSNSを「間借り」して子どもたちの間でやりとりすることもあります。この場合は保護者の目が届くので、トラブルの発覚も早いです。ただ自分専用のスマホを持つ子どもが増えると、大人の目が届かなくなるので、トラブルが見えにくく、発覚が遅れ、深刻化しやすくなりますね。
——本人に落ち度がなくても、本人がスマホを持っていなくても、ほかの「スマホ持ちたて」の子どものスマホトラブルに巻き込まれる可能性があるんですね。小学校高学年の保護者は、特に目を光らせる必要はありますね。
学校貸与端末は、保護者サインの上で利用
——学校から児童に貸与しているデジタル機器については、貴校ではどのような運用をされているのでしょうか。
C先生:本校では、学校独自の「利用の約束」をプリントにして、子どもたちに説明するだけではなく、保護者の皆様にも内容を確認していただき、サインをいただいています。「約束を守れなかったらデジタル機器は回収します」とも伝えています。あとは、クラス担任による日々の声掛けも欠かせないですね。
「家庭ですること」「学校ですること」の境界線はどこにある?
スマホやゲームのトラブルが起きた際、どこまでが学校で対応できるのか。現役教員の本音に迫ります。
人間関係が絡むなら、学校も指導に入る
——保護者が子どもに与えているスマホでトラブルが起きた場合、これは学校の問題でなく、「家庭の問題」とも言えると思います。では、トラブル発生時の学校と家庭の「境界線」はどこにあるとお考えでしょうか。
C先生:基本的に、学校の人間関係の延長でスマホのトラブルが起きているのであれば、それは「学校の問題」も含むと捉えています。学校での人間関係をより良くする意味では、教員も介入して指導をしなければならないと考えています。
A先生:「ご家庭で子どもにスマホを持たせている以上、ご家庭で対応してほしい」と思うケースもありますね。ですが、そのトラブルのせいで、子どもが学校に来づらい、辛いという思いはしてほしくないんです。だからこそ、学校の人間関係に関係するトラブルは間に入って話をします。
「友達はもっと遅くまで遊んでいる」という子どもへの対処法
B先生:よく保護者の方から「子どもが遅くまでスマホやゲームをしていて注意したところ、友達はもっと遅くまで使えてる!と反論された。どうにかならないのでしょうか」と相談を受けます。ですが、ここで教員が子どもに「〇時にやめなさい」と個別の家庭の時間を決めるのは、おかしいなとは思いますね。
——それは確かに、先生方が決めることではなく、各家庭の教育方針に関わることですね。
B先生:学校で子どもたちには「それぞれのお家でゲーム・スマホの約束が違うことは当たり前。自分は自分の家の約束を守らないといけませんよ。」と伝えています。ここはぜひ、ご家庭でももっと話し合い、お子さんを納得させてほしい部分ですね。
A先生:最近はゲーム機の設定等、ゲームの利用時間を機械的に制限できる「ペアレンタルコントロール」機能がありますので、もっと活用してほしいです。保護者の方とお話していると、このような機能をご存じない人が多いですね。物理的な制限機能も活用して、子どもを誘惑から守ってあげてほしいと思います。
「うちの子だけは大丈夫」という思い込みが危険な理由
なぜ、これほどまでに、ゲームやスマホでトラブルが起きてしまうのでしょうか。お話を伺っていくと、親子間の「認識のずれ」が浮かび上がってきました。
親子の「約束」に対する認識ギャップ

——学校で子ども達の間でのスマホトラブルが発覚した時、保護者はどのような様子なのでしょうか。
B先生:深刻に考えられる保護者の方もいれば、一方で「子どもが使ったらそうなりますよね」とあまり重くとらえていないのかなという方もいて、さまざまですね。
A先生:子どもにトラブルがあったことを保護者の方に伝えると「うちは親子で約束作って、守っていますから大丈夫です!」とお話される方もいらっしゃるのですが、実際のSNSのやりとりを見ていただくと「え!!うちの子がこんなことしてたんですか!」と真っ青になる、みたいなこともありますね。保護者の想像できないような内容のことが多いですね。
B先生:このようなトラブルがあるので、学校では「スマホ利用について、お家で約束を決めていますか?」と子ども、保護者双方にアンケートを取ったこともあります。保護者の方は「うちはきちんと約束を決めています」という回答が大多数だったんですが、子どもたちは「うちは約束なんてない」という反対の回答が多かったんです。
——それはびっくりですね!約束を決めた「つもり」で「うちは大丈夫!」と思っているのは、保護者側だけなんて…。
B先生:実際、「約束をしたつもり」になっているのは親だけ、というケースは少なくありません。たとえば親子で「スマホ・ゲームは〇時まで」と約束したはずなのに、子どもにねだられて「今日だけ」とか、「ちょっとぐらい」とかで、約束が結局緩んでいってしまううちに、子どもは「この約束は破ってもいいんだな」「約束はなくなったんだな」と認識してしまうんです。こうなると、約束自体が曖昧なものになってしまいますよね。
A先生:ゲームやスマホでトラブルを起こした子も、親子で約束を決めていたとは思います。ただ、その約束が、子どものなかでしっかり落とし込めていなかった、約束として守られていなかった、ということがトラブルの原因ではないかと感じます。
——緩んでいってしまう約束なら、子ども達が「うちはそんな約束はない」と認識してしまうのも納得です。
子どもにとって「知らない人」の定義

A先生:また、あるご家庭では「ネット上で知らない人とやりとりをしてはいけません」と約束を決めて子どもにスマホを持たせていたのですが、子どもが知らない人と連絡を取っていたというケースがありました。
親が思う「知らない人」が、子どもにしてみたらSNS上でよく見る「友達の友達」だったんです。「友達の友達だから知らない人ではないし、怪しい人ではない」という認識だったので、子ども自身も約束を破った自覚がそれほどなかったんです。
——大人が定義する「知らない人」と、子どもが定義する「知らない人」がずれているわけですね。確かにSNSをしていると「友達の友達」が機能的に紹介されたりしますよね。「友達の友達ならいいか」とガードが甘くなるケースも考えられます。「友達の友達」の扱いについては、親子でしっかり話し合いたいですね。
A先生:その通りです。SNSでの繋がりを、子どもは身近なものだと勘違いしやすいんです。保護者の方は約束を破られてしまったことがショックのあまり、他の出来事でも「子どもを疑ってしまう」とお話しされていました。ですが、「約束」は子どもを疑ったり、縛るためではなく、「子どもを守るため」にあるのだということを、保護者の皆様には忘れないでいてほしいと思います。
現役教員が推奨!トラブル防止のための具体的アクション
ゲームやスマホのトラブルから子どもを守るために保護者としてできることについて、先生方からのアドバイスを伺いました。
親も子どもが使いたいサービスを実際に体験する
C先生:トラブル防止というよりトラブルが起きてしまってからの話になりますが、SNSなどの場合は、やりとりの証拠をスクリーンショットで撮っておいてほしいですね。感情的な「言った・言わない」を防ぐためにも、正しい状況把握のためにも重要です。
B先生:何よりも、子どもにゲームやスマホを与える前に、保護者の方がそれらのサービスやゲームを実際に体験してみてほしいです。子どもが欲しいというからと安易に買い与えたり、すぐに使わせたりするのではなく、「うちの子がやったらどうなのかな?大丈夫かな?」という保護者の視点をもって、リスクを肌で体験してほしいです。
スマホを渡す時は「ラストチャンス」だと心得る
——デジタル機器を子どもに与える前に、保護者側に気を付けてほしいことはありますか?
C先生:特にスマホを子どもに渡す時は、最初がとても肝心です。できるだけ厳しい約束から始めて、徐々に信頼度や成長に合わせて緩めていくことをしてください。ゆるい約束で始めて、「これではまずい!」となったときに、そこから縛りをきつくするのは子どもの反発を招くので、まず無理です。買い与える時は始まりではなく、ルールを徹底できるラストチャンスだと心得てください。
A先生:先ほどアンケートでの親子の約束に関するギャップのお話がありましたが、「親が1度言っただけ」では子どもは理解しないんですよね。子どもが利用しているゲームやアプリを一緒に体験しながら、親子で何度も話をしてほしいです。
大人なら、「なんか危ないな」「よくわからないから手を出さないでおこう」とブレーキを掛けることができますが、子どもって本当に怖がらずになんでもやってしまいます。だから「子どもは大人に比べ吸収も早い」という良い面もありますが、「リスクが分からずトラブルを起こしたり、巻き込まれたりしやすい」という悪い面もあります。
だからこそ、周りの大人がしつこいくらいに、何度も繰り返しゲームやスマホのリスクを伝え、親子で一緒に学んでいくことが重要だと思います。
好きだからゲームをいつまでもやっていると思っていた子どもの意外な胸の内
——ガンホーが貴校の児童の皆さんに向けて、ゲーム・スマホのトラブル防止のオンライン講座を行いました。講座を受講して、先生方が新たに気付いたことをお聞かせください。
A先生:子どもがゲームに課金したくなる動機が「周りに見栄を張りたい」ということに、驚きましたね。「強くなりたい」とか「あのアイテムが欲しいから」といったものが動機だと思っていたんですよ。また、子どもは楽しくてゲームをしていると思っていましたが、切り上げるタイミング、やめ時に結構悩んでいるというのも意外でしたね。毎日顔を合わせている子どもたちにも、知らない面があるのだなと思いました。
C先生:「ゲームを切り上げるタイミング」のお話は、私も印象に残っています。私自身もゲームをするので、いいゲームのやめ方について、講座を受講したあとから私も考えるようになりました。それで負けが続いてきて「この負けをどうにかして取り返さないといけない!」と、「取り戻そう」という感覚になっていたら、その日はもうやめないといけないなと反省しました(笑)。
- POINTまとめ
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- 「スマホ持ちたて」が増える小学校高学年は保護者も要注意!
- 「約束したつもり」は危険!親子で定期的にルールや約束の認識合わせをする!
- ルールや約束作りは最初が肝心。買い与える時がコントロールできる「ラストチャンス」。
インタビュアー/ライター
石徹白 未亜- いとしろ みあ。ライター。ネット依存だった経験を持ち、そこからどう折り合いをつけていったかを書籍『節ネット、はじめました』(CCCメディアハウス)として出版。ネット依存に関する講演を全国で行うほか、YouTube『節ネット、デジタルデトックスチャンネル』、Twitter(X)『デジタルデトックスbot』でデジタルデトックスの今日から始められるアイディアについても発信中。ホームページ いとしろ堂







