ゲームの専門校に通っている生徒は子どものころからゲームをたくさん遊んでいたはずよね?
ふむ。彼らはきっとゲームばかりしていたことで親に叱られた経験があるはずじゃ。小学生や中学生のころに叱られた、どう感じていたのか聞いてみたぞい!
- もくじ
- 高井さん、田中さん、渡邉さんプロフィール
- ゲームの専門校・バンタンゲームアカデミーに通う生徒のみなさん。専門部ゲームプログラマー専攻の渡邉瑛さん(向かって左)、大学部ゲームプログラマー専攻の高井健太郎さん(中央)、専門部ゲームプランナー専攻の田中泰地さん(向かって右)。「高校の授業でゲームプログラミングに興味を持ち、バンタンに入学した」という渡邉さん。高井さんは「高校生の時に好きなことを仕事にしたいと思いプログラマーを目指してバンタンに入学した」とのこと。田中さんは「ゲームプランナーとして、大好きなゲームを通じて多くの人に感動を届けるためにバンタンゲームアカデミーで日々学んでいる」そうです。
バンタンゲームアカデミー
一方的に叱ったり、ゲームを取り上げたりするのは逆効果
子どもがスマホやゲームにばかり熱中していて、勉強をしないことに困っている親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか? 叱っても言うことを聞いてくれず、最終的にスマホやゲームを取り上げてみたものの、そのことで親子のコミュニケーションが上手く行かなくなってしまったというケースもあるようです。
叱った時、子供はどう思っていたのか、またどんなタイミングで言うのが理想だったのか。
今回は、ゲームの専門校「バンタンゲームアカデミー」でゲームクリエイターになるための勉強をしている生徒たちに、小学生や中学生のころに親からどんなことで叱られ、どう思っていたのかを聞いてみました。子ども側の主張を理解した上で指導すれば、子どもの納得度も違ってくるかもしれません。
ゲームの遊び過ぎや大声を出して遊んでいたことで叱られました
――ゲームクリエイターを目指しているみなさんは、子どものころからたくさんゲームを遊んでいたと思いますが、親に叱らたことはありますか?
高井:めちゃめちゃ叱られましたね(笑)。小学生のころは、僕の家だと「ゲームは1日1時間」と決まっていたのですが……。
田中:1時間で止められないよなぁ。
渡邉:僕の家も一時間だったけど……。1時間は短いよね。
――親からどんな感じで叱られていたのでしょうか?
高井:「ゲームばかりしていないで勉強しなさい!」という叱られ方が多かったと思います。
田中:僕の場合は兄弟でゲームをしていたので、盛り上がるとつい「やったー!」とか「うぉぉー!」とかって大きな声を出しちゃって、親に「うるさい!」って叱られていました(笑)。
渡邉:僕も夜にゲームをやっていて「うるさい!」って叱られたことはありますね。
ゲームを理解せずに叱られるのは納得がいかない
――親から叱られた時、どう感じていましたか?
渡邉:ゲームをしながら大きな声を出したり、夜に大きな音でゲームをしたりすることは、よくないことだとわかるので、そこは受け入れていました。
田中:勉強もしなきゃいけないってことはわかるんだけど……。
高井:急にゲームの電源を切られた時は、イラッとしましたね。
――以前、プロゲーマーを目指す高校生にお話を聞いた時、「オンラインゲームだと、インターネットの回線を切られると一緒に遊んでいた仲間にも迷惑がかかる」というお話を聞きましたが、皆さんはどうでした?
高井:僕らが子どものころはオンラインゲームを遊んだりはしていなかったので「仲間に迷惑がかかる」というのはありませんでした。でも、昔はゲームを止める時に遊んだ記録を保存しなくちゃいけなかったんですよ。
田中:今は途中でいきなりゲームをやめてもそこまでのデータを勝手に保存してくれる「オートセーブ」という機能があるけど、昔はなかったんですよね。
渡邉:ゲームをやめるときは、そこまで遊んだ記録を保存するために、自分で「セーブ」をしないといけなかったんだけど……。
高井:1時間遊んでセーブする前に親が勝手にゲームの電源を切ってしまうと、またやり直しになっちゃうので、イラッとしますよね。そこは親にわかって欲しかった。
田中:せめてセーブが終わるまで待って欲しかったよね(笑)。
ゲームを没収することで子どもが友達の輪に入れなくなることも……
ゲームばかりしていて勉強をしなかったことや、大きな声を出してゲームを遊んでいたことで親によく叱られていたという皆さん。親がゲームのデータを保存する前に電源を切ることにイラッとしたそうですが、それ以上に彼らが嫌な思いをしていたのが、ゲーム機の没収だったそうです。
ゲームは子どもたちにとって大切なコミュニケーションツール
――叱られるだけでなく、ゲーム機を没収されたこともありますか?
田中:何度も没収されました。
渡邉:没収されると困るよね。
――何が困ったんですか?
高井:没収されている期間が長いと、友達との会話に入れなくなっちゃうんですよ。
渡邉:みんなゲームをやっているから、学校の休み時間の時なんかもゲームの話をすることが多いんですよ。
田中:クラスで流行っているゲームをやれてないと、会話についていけなくなったりして困るんですよね……。
ゲーム機を返してもらうのは大変でした
――子どもたちにとって「ゲームは欠かせないコミュニケーションツールになっている」ということですね。ゲームを没収された後、どうやって返してもらったのでしょうか?
高井:うちの場合は、次のテストで100点をとると返してもらえたので、必死に勉強しました。
渡邉:ゲーム機を返してもらうために子どもが勉強して100点をとってくれるなら、親は喜んでそうだよね(笑)。
田中:僕は没収されたゲーム機を探し出して、勝手に取り返していました(笑)。
高井:そんなことをして叱られなかったの?
田中:叱られて、また没収されたりしたなぁ(笑)。
渡邉:結局、どうやって返してもらったの?
田中:しばらく大人しくしていたら「反省しているみたいだから返してあげる」って言って返してくれました。
――ゲーム機を没収されることが多かったのはいつ頃までですか?
渡邉:小学校高学年ぐらいまでだったと思います。
高井:中学生になるとゲーム機をとりあげられたりはしなくなりましたね。
田中:僕も中学生になったらゲーム機をとりあげられたりはしなくなりました。
ゲームを許容してもらえたことで、反抗せずにゲームと勉強を両立できました
――中学生になるとゲーム機を没収されることがなくなったのはどんな理由からだと思いますか?
高井:中学生になると、ある程度は自分でいろいろと判断できるようになるので、勉強をやってからゲームを遊ぶようになったり、親に叱られる前にゲームを止めたりすることができるようになったからだと思います。
渡邉:うちの場合、中学の時はちゃんと勉強をしていれば親はうるさく叱ってきたりしなかったので、勉強だけはちゃんとしておこうと自分で決めていました。
――中学生になると反抗期になったりもすると思うのですが、皆さんはどうでした?
高井:僕の場合は親も驚いていますが、反抗期みたいなものはありませんでしたね。
渡邉:僕もなかったかなぁ。
田中:僕はめちゃめちゃありました(笑)。何かというと親に反抗していました。でも、ゲームに関しては、親が「勉強をちゃんとしていれば、いくらでもゲームをしていいよ」と言ってくれたので反抗のしようがなかったんですよね。
高井:ちゃんと条件が決まっていれば反抗のしようもないもんなぁ。
田中:ゲームそのものを禁止されたり、厳しい時間制限があったりしたら、反抗して「ずっとゲームばかりしてやる!」ってなったと思うんですけど、許容してくれていた分、「勉強さえしてればうるさく言われないから楽だな」って思えました。
子どもにスマホを持たせる時はルール(約束)作りやペアレンタルコントロールで対策を
小学生や中学生のころ、ゲームの遊びすぎで親から叱られたことも多かったという皆さん。高校生になって、スマホを持つにあたって親と何か約束をしたのでしょうか?
――皆さんがスマホを持つようになったのはいつ頃ですか?
高井:僕は高2の時ですね。それまでは普通の携帯電話(フィーチャー・フォン)を使っていましたが、親が「そろそろスマホにしたら?」というので、スマホを買ってもらった感じです。
田中:僕は高1の時ですね。サッカー部に入っていたんですけど、遠征が多くて「LINEで連絡がとれたほうが便利でしょ?」ということで、親がスマホを買ってくれました。
渡邉:僕はみんなより少し早くて中1の時です。兄が高校に進学するお祝いでスマホを買ってもらうことになって、その時、僕も一緒にスマホを買ってもらえることになりました。
――スマホを持つ時、親と何か約束を決めましたか?
田中:僕はdocomoのスマホでしたが、親が「あんしんパック」というサービスに入っていて、「あんしんフィルター」で利用範囲を制限する設定をしていたので、特に約束を決めたりはしませんでした。「あんしんフィルターで制限されている範囲でなら自由に使っていいよ」ということでしたので自由に使っていました。
あんしんフィルター for docomo
――親御さんがアプリで機能を制限していたということですね。あらかじめ、機能を制限してから子どもに渡すのもいい方法かもしれませんね。高井さんと渡邉さんはどうですか?
高井:うちは特に約束を決めたりはしなかったですね。
渡邉:うちも細かく決めたりはしませんでしたが、親からは「使い過ぎには注意するように」と言われたり、「目が悪くなるから夜はスマホを触らないように」と言われたりしました。でも、そんなにスマホばかり触るようなこともなかったし、夜は早く寝たいタイプなので夜にスマホを触ることもなかったので、スマホで叱られたことはないですね。
お小遣いの範囲で課金していました
――スマホを持ってからは、スマホでゲームも遊ぶようになったのでしょうか?
高井:最初はスマホのゲームにあまり興味がなかったのですが、友達が「スマホを買ってもらったのなら、このゲーム面白いからやってみて」とすすめてくれたのではじめました。
田中:僕も友達にすすめられてはじめました。
渡邉:僕の場合、中1でスマホを買ってもらったばかりのころは、親や友達とLINEで連絡をとりあうために使っていましたが、中3の頃に友達からすすめられてゲームも遊ぶようになりました。
――スマホは1日どのぐらいの時間、使っていたのでしょうか?
田中:僕は部活も忙しかったので、ゲームだったり動画を見たりで1、2時間ぐらいだったと思います。
高井:どのぐらい使っていたかなぁ……。
渡邉:僕は3時間ぐらいだと思います。
高井:たぶん、僕もおなじぐらいだと思います。
――スマホのゲームを遊ぶようになって、課金をしたいと思ったり、実際に課金したりはされましたか?
高井:課金はしたくなりましたね。僕は自分の小遣いでプリペイドカードを買って課金していました。
――プリペイドカードを買って課金することについて、親御さんに報告はされていましたか?
高井:してないですね。小遣いを何に使うかについては自由だったので。
田中:僕も親に報告とかはしないで、プリペイドカードで課金していました。
――渡邉さんはどうでした?
渡邉:僕は課金をしていませんでした。課金をしたくなる気持ちはわかりますが、僕の場合、「課金したら負け」と思っていました(笑)。課金せずにゲームを攻略することを楽しんでいた感じです。
高井:それはいい楽しみ方かもしれないね(笑)
ゲームクリエイターを目指す生徒からゲーム好きな子を持つ親御さんにアドバイス
ゲームが好きな専門生の皆さんは、子どものころに叱られることはあったものの中高生になるにつれ、自分の中で約束を作り、ゲームやスマホと上手く付き合っていたようです。そんな彼らにゲームが好きな子を持つ親御さんへのアドバイスをいただきました。
ゲームについて理解してあげて欲しい
――ゲームやスマホばかりしていて勉強をしない子どもを持つ親御さんに、皆さんから何かアドバイスはありますか?
田中:ゲームについて理解してあげて欲しいですね。僕らが子どものころ、セーブをする前に電源を切られて困ったのも、今の子がオンラインゲームをやっている途中で回線を切られて仲間に迷惑をかけちゃうのも、親がゲームのことを理解していないからだと思うんですよね。
高井:親は自分の子どもに「勉強をして欲しい」とか考えていると思うんですけど、子どもに何かをさせたいなら、親もその分、少しでもいいからゲームについて調べて欲しいですね。
渡邉:ゲームについて理解してくれた上で、「勉強をちゃんとしたらゲームもやっていいよ」と子どもと約束すれば、子どもだって約束は守ってくれると思います。
子どもが勝手に課金しないように親が対策して欲しい
――スマホの課金についてはどうですか?
田中:子どもはできるだけ簡単に強くなりたいと考えるので、課金をしたくなるのは仕方ないことだと思います。
高井:小学生とかだと親のスマホにクレジットカードが登録されていたら、課金しちゃうだろうね……。
渡邉:だから、親に対策してもらうしかないと思います。クレジットカードを登録したスマホを子どもに渡さないようにしたり、クレジットカードを子どもの手の届く場所においておかないようにしたり。
田中:パスワードを入れているところを子どもに見せないようにしたりね。
渡邉:小学生だと良い悪いの判断もつかない中で、親のスマホやクレジットカードで課金しちゃうと思うので、お金の大切さをちゃんと教えてあげるのも大事だと思います。
高井:あとは、自分の小遣いの範囲ならプリペイドカードで課金するのは許してあげるとかかな。小学生の場合はちゃんと親と話し合ったほうがいいと思うけど。
田中:お小遣いでプリペイドカードを買うのもダメって言っちゃうと、それこそ親のクレジットカードを勝手に使うとかやっちゃうかもしれないしね。
子どもがどんなゲームをやっているのか知っておくべき
――スマホのゲームやオンラインゲームは、知らない人とネットを介してゲームをするのでトラブルに発展するケースもあると思うのですが、オンラインゲームのトラブルについて何かアドバイスはありますか?
高井:何かあるかな?
田中:僕はオンラインゲームをやっていた時、知らない人から「ちゃんと動け! 寝てるのかよ!」と暴言を吐かれたことがあります。
渡邉:その時はどうしたの?
田中:「寝てました」って返したら、相手があきれて黙った(笑)。
高井:田中くんみたいにメンタルが強ければいいけど、子どもだとショックを受けるかもしれないよなぁ。
渡邉:ショックを受ける子もいると思う。
田中:子どもがどんなゲームを遊んでいるのか親が知っておくのも大事かもしれませんね。オンラインで会話できたり、メッセージを交わしたりできるゲームを遊んでいるようなら、子どもがどんなやりとりをしているか気にしておいたほうがいいと思う。オンラインでのやりとりでショックを受けていたら声をかけてあげるとか。
――親がゲームについて理解することが大事ということですが、普段ゲームをやらない親が急に子どもに対して「一緒にゲームをしよう」と提案したら、子どもはどう思うでしょうか?
高井:子どもの年齢にもよるとは思いますが、中学生とかでも「嫌だよ」とかって反抗的な態度をとったりしながらも、本音では喜んでくれるんじゃないでしょうか。
田中:親が自分の好きなものに興味をもってくれるのは、なんだかんだ言って嬉しいと思いますよ。
ゲームの専門校に通う生徒から見た『お約束メイカー』は?
最後に、ガンホーの『親子でスマホとゲームのお約束メイカー』について「バンタンゲームアカデミー」に通っている皆さんに感想を伺いました。
一方的に決められた約束よりも一緒に作った約束なら納得しやすい
高井:『お約束メイカー』はすごくいいと思います。やっぱり、親から一方的に決められた約束だと子どもも納得しないと思うんですよね。
田中:一緒に決めた約束なら守りやすいと思います。
渡邉:『お約束メイカー』が話し合いのきっかけになって、そこから親も子どもも納得できる約束が作れるとお互いにとっていいですよね。
- POINTまとめ
-
- ゲームを理解せずに叱られるのは納得がいかない
- ゲームを没収することで子どもは友達の輪に入れなくなる
- スマホを持たせる時はフィルターアプリや約束作りで対策を
- 勝手に課金しないよう親が対策を講じる必要がある
- 小遣いの範囲でなら課金を許してあげることも検討する
- 子どもがどんなゲームをやっているのか知っておくべき
- インタビュアー/ライター
斎藤 ゆうすけ - さいとう ゆうすけ。ライター・放送作家。大学在学中よりゲームメディアで記事の執筆を行い、現在はテレビやラジオの放送作家として活動。バンタンゲームアカデミーおよび東放学園映画専門学校にて、講師としてゲーム関連の講義も担当しており、バンタンゲームアカデミー高等部eスポーツ専攻ではプロゲーマーを目指す高校生向けにネットリテラシーの講義も行う。活動に関する告知はTwitter『斎藤ゆうすけ(アニゲウォッチャー)』にて発信中。