プロを目指す子供も増えているみたいだけど、勉強・ゲームの両立はできるのかな?
プロゲーマーを志す現役高校生に親子でどんな約束をしているか聞いてきたぞい!
- もくじ
- 本間偉智さんプロフィール
- バンタンゲームアカデミー高等部 esports専攻 2年生。中学2年生の頃にesports業界を目指し、バンタンゲームアカデミーへの進学を決意。入学後はプレイヤーに限らず、コーチや学内大会の運営等幅広い分野にチャレンジしている。プレイヤーとしては「STAGE:0 GAME PARTY 2022」VALORANT部門でベスト4に入賞。また、フォートナイトではコーチ活動も行っている。
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プロゲーマーを目指す高校生は親子でどんな約束をしているの?
今や「プロゲーマー」は、子どもにとって憧れの職業の1つ。 では、「プロゲーマー」を目指す人は、どうやって勉強・ゲームを両立しているのか、親子でどんな約束をしているのか。バンタンゲームアカデミー高等部eスポーツ総合コース(以下:バンタンゲームアカデミー)に通い、プロゲーマーを目指している現役高校生の本間さんにお話を伺いました。
オンライン対戦ゲームを友達に誘われて始めた
――本間さんはどうしてプロを目指そうと思ったのでしょうか?
本間 小学生くらいまでは、あまりゲームをやらず、外で遊ぶことが殆どでしたが、中学生の頃に友達に誘われて、オンラインの対戦ゲームを遊んでみたら凄く面白くて、時間を忘れて熱中していました。
大会で結果を出し、プロを目指すことに
――中学生になってから、本格的に始めたんですね
本間 そうですね。友達と遊ぶうちに、「せっかくなら大会に出てみよう」と、出場したら、好成績を収めることができて…。
最初の大会で結果を出せたのがきっかけで、「プロゲーマー」という仕事を意識しだしました。
ゲームのやり過ぎで失敗したことは?
中学生になってから本格的に始めたという本間さん。「時間を忘れて熱中」しだしたそうですが、それゆえに親御さんから何度も注意をされたそうです。
睡眠時間も削り1日12時間も熱中
本間 熱中し始めたばかりの頃、酷い時で1日12時間ぐらい遊んでいました。
――12時間も!?
本間 時間の感覚がおかしくなっていて、何日もお風呂に入らなかったり、睡眠時間を削ったり。今考えると酷い生活だったと思います。そんな僕を心配してくれてのことだと思いますが、ゲームを遊んでいる最中に、親にインターネットの回線を切られた時はショックでしたね。
インターネット回線を切られて仲間に迷惑をかけたことがショックだった
――オンラインゲームだと、インターネット回線が切れると、ゲームを続けられなくなりますからね……。
本間 僕ができなくなるだけならいいです。だけど、自分のインターネット回線が切れると、一緒に遊んでいた仲間もゲームを続けられなくなります。対戦で成績を競うゲームだと、インターネット回線を切って中断してしまうことは良くないとされていて、ペナルティが課されることもあります。僕だけなら仕方ないとしても、仲間に迷惑をかけてしまったことがショックでした。
体調を崩したことが生活を見直すきっかけに
――インターネット回線を切られたことの他に、親御さんからのペナルティはありましたか?
本間 最終的にはやりすぎで体調を崩してしまったこともあり、完全に禁止されてしまいました。僕自身も心のどこかでゲームばかりしていることは良くないと思っていましたが、体調を崩してしまったことを契機にそれを強く自覚することになりました。
――ゲームを禁止されていた間はどうしていたんですか?
本間 禁止されたことをきっかけに、久しぶりに友達と外で遊んでみたら凄く楽しくて…。友達との大切な思い出を作ることも出来ました。ゲームも楽しいけど、外に出て遊ぶのも楽しいって改めて思えたし、ゲーム以外の他のことも楽しみたいと思えるようになったんです。体調を崩して、ゲームを禁止されたことで、プロゲーマーを目指すにしても「せめて、きちんとした生活をしよう」と思うようになり、自分の生活を見直していったんです。
プロゲーマーを目指すために親子で交わした約束
本格的にプロを目指すことにした本間さんは、eスポーツ総合コースのあるバンタンゲームアカデミーへの入学にあたり、親子で話し合いをしたそうです。
「プロゲーマーの仕事」だけでなく、eスポーツ関連の仕事についても説明
――バンタンゲームアカデミーに入学するにあたり、親御さんとはどんな話をしましたか?
本間 まず、「プロゲーマー」という職業が存在することを親に話しました。「大会で賞金を稼ぐ」だけではなく、動画配信や周辺機器の宣伝など、様々な仕事で収入を得ることができること、そしてeスポーツが世界的なブームになっていて、プロゲーマーのマネジメントや大会運営など、eスポーツ関連の職業を目指す上でもプロゲーマーを目指すプロセスが役に立つということも話しました。
「普通の高校生がやっていることはきちんとやる」ことが大切
――プロゲーマー以外の仕事についても説明したと。
本間 僕自身もプロになるのは難しいことだと分かっています。だから、(プロゲーマー以外の)別の道についても話しました。親と話して改めて気づきましたが、最初から「親はゲームのことは分かってくれない」と諦めずにきちんと説明することが大事です。根気よく丁寧に説明した上で、体調管理や勉強との両立など、「普通の高校生がやっていることはきちんとやる」という約束をすることで、親にも理解してもらえました。
ゲームによっては「1日〇時間まで」というルールは作りづらい
――ゲームをプレイする時間についても約束したのでしょうか?
本間 「1日〇時間まで」という約束はしていません。1人でプレイするロールプレイングゲームとかだと、「〇時間まで」という約束もしやすいですが、オンラインの対戦ゲームだと、1回の試合時間がランダムな部分もあるし、勝ち続けると(プレイ時間が)長引くこともあります。
もし、子どもとゲームを遊ぶ時間について約束するなら、遊んでいるゲームがどんなゲームなのか、子どもからヒアリングをして、しっかりと理解してほしい。対戦ゲームだと、途中で抜けることで仲間に迷惑をかけてしまう可能性もあるからです。
ゲーム内容を理解して適切な約束を
――インターネット回線が切られて、迷惑をかけたことがショックだったとお話しされていましたね。
本間 はい。僕の場合、少し気まずい雰囲気になっただけですが、仲間に迷惑をかけて学校で仲間外れにされてしまう可能性もあるかもしれません。ゲーム内容を親に理解してもらえば、例えば「1日〇時間ぐらいまで。〇時間経ったら、今やっている対戦で終わる」とか、「1日に対戦〇回まで」といったようなルールも作れるはずです。
プロゲーマーを目指しながら、高校の勉強とゲームの実力アップを両立させるコツとは?
親の理解の上で、プロを目指して勉強もしっかりこなしている本間さんに、ゲームの実力アップと両立させるコツを伺いました。
ゲームも勉強も効率よくこなすことが大事
――勉強をしながら腕を磨くのは大変ですよね?
本間 僕を含め、プロゲーマーを目指す学生には様々なタイプがいます。それこそ中学生の頃の僕のように、時間を忘れてゲームに没頭するという考え方もあると思いますが、僕は違うと思います。
やりこむことで、一定の実力に達することはできます。だけど、そこからはただやり続けても、なかなか勝てずにストレスが溜まったり、ゲームそのものが嫌になったり、プロを目指す上でマイナスな面も増えてくると思います。ストレスが溜まってゲーム自体が作業に思えてきたりしたら、無理に続けず一度ゲームから離れることも大切です。
自分で決めたスケジュールによって体調を管理
――スケジュールをしっかり決めて、腕を磨くことが大事ということですね。
本間 そうですね。プレイする時は集中して、それ以外の時間は勉強をしたり友達と遊んで…。食事やお風呂も大事ですし、睡眠もしっかりとるようにしています。そうすることでゲームのパフォーマンスも上がり、1日12時間とか無理にやり続けなくても、効率よく腕を磨いていけるはずです。
プロゲーマーを目指すプロセスを通じて、勉強も楽しめるように
――ゲームの腕を磨くことで、勉強に役立ったことはありますか?
本間 ゲームと同じ感覚で、集中して勉強することもできるようになったし、ゲームをクリアする感覚で、楽しんで勉強をする意識も持てました。あと、数学の問題を解きながら、敵を倒すゲームもあるので、そういうものも勉強に活用しています。他にも、僕がプレイしているゲームは、海外プレイヤーと通話しながらプレイするので、英語の勉強にもなります。日常会話のレベルですが、ネイティブスピーカーと頻繁に話せるのは、海外プレイヤーと一緒にプレイすることのメリットだと思います。
プロゲーマーを目指す高校生から見た『お約束メイカー』は?
最後に、ガンホーの『親子でスマホとゲームのお約束メイカー』について本間さんに感想を伺いました。
楽しくゲームを遊ぶために親に理解してもらうことも大切
本間 僕自身、熱中しすぎて体調を崩してしまったことがあるので、『親子でスマホとゲームのお約束メイカー』のようなツールで、あらかじめ約束を作るのは良いことだと思います。約束作りにあたって、自分が遊んでいるゲームがどんなものなのかを親にしっかりと説明して、お互いに理解を深めながら、こういったツールも使ってほしいと思います。
- POINTまとめ
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- 子どもが遊ぶゲーム内容を理解して約束を作ろう!
- 途中で抜けることで子どもが仲間外れにされる場合も
- プロゲーマーに憧れる子どもの話をしっかり聞こう
- ゲームを真剣にプレイする中で、勉強への意識が変わるケースも
- インタビュアー/ライター
斎藤 ゆうすけ - さいとう ゆうすけ。ライター・放送作家。大学在学中よりゲームメディアで記事の執筆を行い、現在はテレビやラジオの放送作家として活動。バンタンゲームアカデミーおよび東放学園映画専門学校にて、講師としてゲーム関連の講義も担当しており、バンタンゲームアカデミー高等部eスポーツ専攻ではプロゲーマーを目指す高校生向けにネットリテラシーの講義も行う。活動に関する告知はTwitter『斎藤ゆうすけ(アニゲウォッチャー)』にて発信中。