どうしたらゲームをやめて勉強してくれるのかなぁ?
「ゲームvs勉強」と考えるのではなく、ゲームを味方にして学習する方法があるんジャ!
- 真鍋 拓也さん

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ゲシピ株式会社代表取締役CEO、iU 情報経営イノベーション専門職大学客員教授。中学時代よりゲームセンターに通っていた際の原体験をもとに起業した『ゲーセン生まれのメタバース起業家』。
上智大学外国語学部卒業後、金融機関で営業に従事。その後ヤフー株式会社にて複数のサービス開発や新規事業開発をリード。
2018年にメタバース教育企業のゲシピ株式会社を創業し、eスポーツ英会話を運営。
「子どもがゲームやスマホで遊んでばかりで勉強してくれない…」と頭を悩ませる保護者は、非常に多くいます。特に小学生・中学生のお子さんを持つご家庭では、日々の学習習慣とゲームとの付き合い方が大きな課題になりがちです。今回は、オンラインゲームを活用して、楽しみながら英会話の勉強ができるユニークな学習サービス「eスポーツ英会話」を運営するゲシピ株式会社代表取締役CEOの真鍋拓也さんに、ゲームを勉強の役に立てる具体的な方法や、オンラインゲームを通じて身につくポータブルスキルについてお話を伺いました。ゲームの時間を、価値ある学びの時間に変えるコツを知りたい親御さん必見です。
オンラインゲームをしながら英語が身につく?驚きの学習メカニズム
はじめに、「eスポーツ英会話」を設立したきっかけや、オンラインゲームがどう英会話学習に役立っているか伺いました。
コロナ感染拡大でゲームばかりの小学生の息子を前に、「eスポーツ英会話」が誕生

真鍋:弊社は2018年の創業以来、eスポーツを活用した新しい教育事業のあり方を試行錯誤してきました。
そのような中で、2020年に新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大し、私たちの生活は一変しましたよね。当時は緊急事態宣言などもあり、我が家の小学校4年生の息子も、学校や塾はもちろん、コンビニや公園にすら自由に行けない日々が続きました。その結果、どうしても家でゲームばかりするようになってしまったんです。
私自身もゲーマーですし、ゲームをすること自体にネガティブな印象は持っていません。しかし、さすがに1日6~7時間もゲームに費やしている小学生の息子を毎日見ていると、親としては「このままで本当に大丈夫だろうか」「何か勉強の役に立つことに時間を使えないか」とヤキモキする気持ちが大きくなっていきました。
そんなある日、息子がゲームをしている様子をじっくり観察してみたんです。すると、オンラインゲームで画面の向こうにいる学校の友達と、ボイスチャットを使ってずっと楽しそうに喋っていたんです。話している内容は「今日の宿題のドリルが難しかった」とか「あの授業がどうだった」といった何気ない世間話です。コロナ禍で外に出られず、友達と直接会うことができない小学生の息子にとって、唯一の社会との接点がオンラインゲーム上のチャットだったのだと気づかされました。であれば、その「誰かと会話したい」「友達とつながりたい」という子どものエネルギーやモチベーションを、うまく教育や勉強に利用できないかと考えたんです。
息子はオンラインゲームのボイスチャットでずっと会話をしていたので、このやりとり自体を「英会話」にしたらいいのではないかとひらめきました。息子のゲーム時間の6時間のうち、たった1時間でも英語の学びに変えることができれば、という発想が「eスポーツ英会話」が誕生したきっかけでした。
なぜオンラインゲームだと英語が早く身につくのか?英会話学習において効果的な2つの理由

——英会話学習において、オンラインゲームを活用することはどのような点で効果的なのでしょうか。
真鍋:生徒である子どもたちが「モチベーション」と「実感性」を強く感じられる点が最大のメリットだと考えています。
まず1つ目の「モチベーション」ですが、小学生・中学生の子どもたちはゲームが大好きですから、「大好きなゲームを有利に進めるため」「チームの仲間と連携するため」に英語を使えと言われれば、自発的に使おうとするんです。「英語そのものを勉強したい」という動機はハードルが高いですが、「ゲームで勝ちたい」という動機なら非常に超えやすいハードルですし、強力なモチベーションにもなります。最初はこんな不純に見える動機でも、まったく構わないと私は思うんです。私自身、英語は好きですが、もともと英語学習へ向かった最初のモチベーションは、大好きな洋楽の歌詞を理解したいという想いでしたから。
——海外ドラマや映画、洋楽がきっかけで外国語を習得する人は多いですよね。
真鍋:その通りです。そして2つ目の「実感性」についてですが、例えば、オンラインのシューティングゲームをプレイしていると、刻一刻と状況が変わる中で「Can I have the big potion ?(そのビッグポーションもらっていい?)」という会話がリアルタイムで交わされるんです。
学校の英語の授業でも「Can I~?(~してもいいですか?)」という定番の文法構文を教わりますが、学校で習う例文は「Can I have an apple?(リンゴをもらっていい?)」などというもので、これだと日常生活のリアルな場面としてイメージしづらく、実感性に乏しいですよね。一方、オンラインゲームの体験の中であれば、ピンチの状況で目の前に「ビッグポーション」というアイテムがあったら「これをもらっていい?」と自発的に話します。自分が置かれている状況と言葉が完全にリンクするため、文法の意味や使いどころを直感的にイメージしやすく、記憶に残りやすいんです。
——たしかに教科書の「This is a pen(これはペンです)」も、実際の生活で使う機会はほとんどありませんが、言葉を使う切実な状況が目の前にあれば、小学生・中学生でも英語を学ぶ必要性をリアルに実感しやすいですね。
小学生・中学生の保護者必見!勉強とゲームを無理なく両立させる秘訣
eスポーツ英会話は、まさに「勉強とゲームの両立」を体現した取り組みですが、この「両立」を各家庭でも実践するためのコツについて伺いました。
両立のコツ①子ども本人が好きなものと、勉強をコラボさせる
——「勉強が嫌いでゲームが大好き」という小学生・中学生の子どもは本当に多いと思いますが、そんな子どもにどうやって勉強をさせればいいのでしょうか。
真鍋:これは多くのご家庭にとって非常に難問だと思います。あくまで私の考えですが、子ども本人が心から好きなもの、強い興味を持つものと組み合わせて「コラボ」させることが重要なのかなと思います。
子どもの興味や関心は、本当に素直でストレートです。「やりたい」「やりたくない」の感情がとても分かりやすいので、子どもの「やりたい!」という強いエネルギーを排除するのではなく、いかに教育や学習に利用するかがポイントになると思います。
——たしかに、子どもの好きなものへの熱中ぶりや集中力は凄まじいですよね。ゲームだけでなくスマホやSNS、アイドル、漫画、YouTuberなどに視野を広げて考えてみるのも良さそうですね。
真鍋:そうですね。もちろん自分の興味がないことに取り組んでいくことも非常に重要ですし、大人になるにつれて気乗りしないことにもきちんと取り組むことの大切さを身に染みて理解していくことになります。しかし、まだ発達段階にある小学生や中学生の子どもに対して、いきなりその忍耐力や自律性を求めるのは難しいかもしれません。まずは「好き」の力を借りて学習のハードルを下げてあげることが、勉強とゲームを両立させる近道になります。
両立のコツ②ゲームの「ついで」に生活習慣や基本スキルを覚えさせる
真鍋:また、ゲームという楽しみの「ついで」に、さまざまな良い習慣やスキルを身につけさせるのもいいと思います。例として、「eスポーツ英会話」はオンライン授業形式で行われますが、授業前の準備は必ず子ども自身の手で用意する、とルールを決めているご家庭も多いです。ゲーム機やパソコンを立ち上げて、通信環境を確認し、テキストとノートを机に用意するという程度ですけど、それでも15分ぐらい前から準備し、前もって動いておかないといけません。ですが大好きなゲームが絡んでいるため、小学生の生徒さんも自発的にきっちり準備して画面の前で待機してくれますよ。
——この行動を普段の生活でも応用できれば、「定刻通りに始められるように、時間を逆算して準備を終わらせる」習慣が身につきますね。これは将来どんな仕事に就くとしても一生役に立つ、とても大事な基本スキルですよね。
真鍋:その通りです。「勉強しなさい!」と無理矢理に机に向かわせるよりも、ゲームに対するモチベーションをうまく「利用する」ことが、勉強とゲームを両立する鍵になります。
子どものゲームでよくある「困った!」に、どう対応するか
子どもが、「将来eスポーツ選手(プロゲーマー)になりたいと言っている」「オンラインゲームのチャットでの暴言を吐いている」など、ゲームにまつわる多くの親御さんの悩みについても伺いました。
「プロゲーマーになりたい」と言ってきたら否定せず「横展開」する
——小学生・中学生の子どもが「将来eスポーツ選手(プロゲーマー)になりたい!」と言いだしたら、親はどう向き合えばいいのでしょうか。
真鍋:もし自分の子どもからそう言われたら、私だったら「絶対頭ごなしに否定しないこと」を意識します。特に「プロゲーマーなんて一握りの人しかなれないし、生活していけないでしょ」と論理的に否定するのは避けた方が賢明です。
——親としては将来が心配なあまり、つい論理的に諭したくなってしまいますが、そこはぐっとこらえるべきなのですね。
真鍋:はい、その通りです。今、世の中にある仕事だって10年後、20年後どうなっているかわかりません。ですから、子どもが抱いた「プロゲーマーになりたい」という夢や目標を否定するのではなく、その情熱をうまく利用して他の学習領域へ「横展開」させていくのがいいかと思います。
具体的な横展開の例として、子どもに対してこのように伝えてみます。「ゲームが上手いだけでは、プロゲーマーにはなれないよね。今のeスポーツはチーム戦が多いから、試合中に自分の意図や作戦を仲間に伝えるための国語力やコミュニケーション力が必要なんだよ。それに、世界大会は海外で開催されることも多いから、英語でインタビューに答えたり海外の選手と交流したりするために英語の勉強もちゃんとしようね」と伝えてあげるのです。
——「プロゲーマーになりたいなら、国語や英語の勉強も必要だね」という横展開は、素晴らしいアプローチですね!子どもの言うことを「だめだめだめ!」と頭ごなしに否定するより、子どものやる気を引き出し、自然と勉強へと目を向けさせることができそうですね。
オンラインゲーム中のチャットでの「暴言」トラブルにはどう対応する?

——子どもがオンラインゲームをしているときの、ボイスチャットでの「暴言」や口の悪さが気になる、という親御さんの声も多く聞きます。
真鍋:ゲーム中の暴言には、「①自分が相手に暴言を言ってしまうパターン」と「②相手から暴言を言われてしまうパターン」の2つのパターンがありますよね。
まず①の「自分が暴言を言ってしまう」ケースですが、eスポーツ英会話では生徒たちに、「ゲームの中であっても、学校や家庭などの『普段の現実世界』とまったく同じなんだよ」と伝えています。オンラインゲームはチームプレイが多いため、ゲームが上手くない子や初心者に対して、ついイライラしてキツい言葉を投げかけたくなることもあるかもしれません。しかし、「学校で目の前にいる友達に対して悪口を言ったり、無視したり嫌がらせをしたりしないよね?ゲームの中でも一緒なんだよ」と、現実世界のモラルやマナーと同一であることを説明しています。
そして②の「相手から暴言を言われてしまう」ケースですが、これは精神論ではなく、ゲームに備わっている機能を活用してテクニカルに防ぐのが一番だと思っています。具体的には、ボイスチャット(音声通話)、テキストチャット(文字でのやりとり)の機能をあらかじめオフにして、使えなくする方法です。実は音声によるボイスチャットよりも、テキストチャットの方が暴言や攻撃的な言葉が多くなりがちなんです。「相手に直接音声で言う」のは、テキストチャットよりも一段ハードルが上がりますからね。物理的にチャット機能を制限することで、不快な暴言から子どもを守ることができます。
約束づくりも、子どものゲームへのモチベーションをうまく「利用」しよう

——子どものゲームへの情熱を排斥するのではなく、ゲームをきっかけに子どもがやる気を出すことに着目し、英語学習やマナー教育へと横展開していくことを考えると、子どもの可能性が広がりそうですね。最後に、ガンホーが提供する、親子で約束をつくることができる『お約束メイカー』についての感想をお聞かせください。
真鍋:親からの一方的な押し付けではなく、親子で対等に話し合いながら一緒に約束を作っていくプロセスがとてもいいですね。親から子どもへ一方的に「ゲームは1日1時間まで!」と言っても、小学生や中学生くらいの子どもはなかなか素直に聞かないですし、理解しづらいものです。子どもからすると「僕はルールを強制されるのに、親はやらないんでしょ」「自分だけ損している」という理不尽さを感じてしまうんですよね。でも親子で一緒にルールを作ると、「目標に向かう仲間」のような一体感が生まれますから。
「子どもが大好きなゲームやスマホ」という関心事と、「親がやってほしい勉強」をうまく組み合わせたお約束を作ってみてはいかがでしょうか。
- POINTまとめ
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- ゲームで得る「モチベーション」と「実感性」が学習効果を高める
- プロゲーマーなどの夢は否定せず、親はそのやる気を「横展開」させて勉強につなげる
- ゲーム中の暴言やチャットトラブルは、「モラル教育」と「機能制限」で防ぐ
インタビュアー/ライター
石徹白 未亜- いとしろ みあ。ライター。ネット依存だった経験を持ち、そこからどう折り合いをつけていったかを書籍『節ネット、はじめました』(CCCメディアハウス)として出版。ネット依存に関する講演を全国で行うほか、YouTube『節ネット、デジタルデトックスチャンネル』、Twitter(X)『デジタルデトックスbot』でデジタルデトックスの今日から始められるアイディアについても発信中。ホームページ いとしろ堂







