親子でスマホ・ゲームお約束メーカー
インタビュー
2023年9月5日

子どものゲームやスマホの管理するための機能、「ペアレンタルコントロール」使いこなせている?

ペアレンタルコントロールって使いづらくて結局使ってないのよね~

使いこなせていないだけかもしれんゾイ!

もくじ
鈴木朋子さん鈴木朋子さんプロフィール
ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザー。スマホやSNSなど、身近なITサービスに関する記事を執筆。安全なIT活用をサポートするスマホ安全アドバイザーとして記事執筆や講演も行う。著書は「親が知らない子どものスマホ」(日経BP)、「親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本」(技術評論社)など多数

子どものゲーム・スマホの利用に制限をかけられる「ペアレンタルコントロール」機能。ただ、子どもから「ペアレンタルコントロールが入っていると使いづらい!」と不満の声が上がるので、使っていない保護者も多いようです。上手に使いこなせれば安心・安全につながるペアレンタルコントロールの活用方法について教えてもらいました。

ペアレンタルコントロールだけでは「半分」

ペアレンタルコントロールで防げること、防げないこと、そして、ペアレンタルコントロール以外に必要なことについて尋ねました。

ペアレンタルコントロールで「課金」と「長時間利用」は防げる

――子どものゲーム・スマホのトラブルのうち、ペアレンタルコントロールで防げるものにはどのようなものがありますか?

鈴木:子どものゲーム・スマホトラブルの大きなものに「ゲームなどへの課金」と「長時間利用」がありますが、これらはペアレンタルコントロールで防げます。
特に時間制限に関してはは使い勝手がいいのでぜひ活用したいですね。例えば「スマホは22時まで」という親子の約束がある場合、ペアレンタルコントロールがないと、22時を過ぎても子どもがスマホをしていたら、親は「時間だからやめなさい」という言う必要がありますが、つい忘れてしまう時もあると思います。
逆に親が気になって、21時30分くらいから「そろそろやめなさい」としつこく子どもに急かすのも良くないですよね。そういうときもペアレンタルコントロールを使えば、時間が来れば自動的にスマホをロックしてくれるので便利です。

ペアレンタルコントロールで「課金」と「長時間利用」は防げる

ペアレンタルコントロールで防げないこととは?

――逆にペアレンタルコントロールで防げないトラブルにはどのようなものがありますか?

鈴木:例えば「実際に子どもが誰とどのようなことを話しているか」まではペアレンタルコントロールでは対応できません。それぞれの親子の約束、コミュニケーションで補っていく部分になります。「ペアレンタルコントロールというデジタルの見守り」と「親子の約束というアナログな見守り」はどちらかが欠けてもうまく機能しませんので、セットで考えることが必要です。

ペアレンタルコントロールは今よりもっと活用できる!

「ペアレンタルコントロールは使いにくくて」と思われている親御さんもいるかもしれません。使いこなしのポイントを尋ねました。

「まあいいか」も「絶対ダメ!」もNG

鈴木:「ペアレンタルコントロールだと設定した時間になったら一律にスマホは終わり、何も使えなくなる」というイメージを持たれている親御さんも少なくないですが、もっと柔軟性があります。「アプリAは1日1時間まで、アプリBは1日30分まで」など、アプリごとにも上限時間を設定できます。
ほかにもおすすめのペアレンタルコントロール機能に「アプリのインストールを許可制にする」があります。親御さんは「子どもが”入れて!”と言ってきたアプリだから、まあいいか」とすぐインストールを許可せず、どんなアプリなのかまず調べてみましょう。一見、コミュニケーションと関係がないアプリのように見えてもチャットやSNS機能を搭載しているケースも多いです。その場合はアプリ内の設定でチャット機能をオフにするなど制限をかけられるケースもあるので、子どもに使わせる前に一度確認してみましょう。
一方で、「どのアプリもインストールしては絶対ダメ!」も避けたいですね。「絶対ダメ!」なら、子どもは「スマホの利用に関して、親に何を言っても無駄だ」と思ってしまうでしょう。

――「何を言っても無駄だから、隠れて利用しよう」になりかねませんね。

鈴木:はい。親御さんには大変なところですが「子どもがスマホでトラブルにあった時に、ちゃんと親に相談してくれるような関係性を保っておくこと」はとても大切です。

ペアレンタルコントロールは、いつ解除する?緩める?

――ペアレンタルコントロールは子ども側の抵抗も強く、解除して欲しいという要求も強いですよね。

鈴木:そうですね。よく聞くのが「ある1つのアプリが使えないから子どもから不便だと言われた親が、全てのペアレンタルコントロールを解除してしまう」ケースです。

――毎回言われるのは面倒だから、「まあ、いいか」と全て解除になったのでしょうね。

鈴木:手間ですが、解除のタイミングは慎重にいきたいところです。学年が上がった時などのタイミングで振り返り、ゲーム・スマホを上手に使えているようならペアレンタルコントロールを少し緩める、くらいがいいですね。
また、「ずっとペアレンタルコントロールを見直さない」のも問題です。年齢に応じて、生活スタイルが変わればスマホの使い方も当然変わります。特に真面目な子ほど、不満を持ちながら親と決めた約束を守らなきゃいけないのか、と不満を内にためていくケースもあります。
さらに、子どもがスマホを使いはじめたころはどうしても嬉しくてはしゃいでしまうものです。徐々に「知らない人と話したってしょうがない」「フォロワーをやみくもに増やしてもしょうがない」など子ども自身も気づき落ち着いてきますが、それが子ども自身も実感できていない最初のうちは「試用期間」として、早めに見直し期間を設けてもいいかもしれません。

ペアレンタルコントロールは、いつ解除する?緩める?

ペアレンタルコントロールを後から入れたいときはどうしたらいい?

――ペアレンタルコントロールを入れずに子どもにゲーム・スマホを渡してしまい、使わせてみたところ使い方に問題があったので、後から入れたいというときはどうしたらいいでしょうか。

鈴木:端末を渡す時にペアレンタルコントロールを入れておくことが理想ではあります。自由に使わせたあとでペアレンタルコントロールをかけるのは、当然子ども側の強い反発を招くでしょう。
その前提はあるとして、後からペアレンタルコントロールを入れたい場合は、後から入れると判断した「理由」を子どもに伝えたいですね。例えばゲーム・スマホの長時間利用も「長時間利用がいけない」というより、それによって宿題をやらないとか、夜遅くまでスマホをして朝寝坊して学校に遅刻するとか、生活に支障が出ている点こそが問題ですよね。そういった背景を伝えた方が子ども側に納得感はあるかもしれません。

子どもたちはペアレンタルコントロールをどう突破している?

「ペアレンタルコントロールをかけても無駄、子どもはすぐ突破する」という声もよく聞きます。一体どうやって「突破」されてしまうのでしょうか?

パスワード入力時は別室に行く!画面は拭く!

鈴木:ペアレンタルコントロールが突破されてしまうのは、主に親が設定したパスワードやパスコード(以下、パスワード)が破られてしまうケースです。対策の基本はパスワードを子どもに知られないことです。家族の誕生日など子どもが推測できるパスワードにしないことは当然ですが、メモなどに残すと子どもが家中を探し回り見つけることもあるようなので、保存場所には注意しましょう。
また、パスワードを入力している時の指の動きを見られているケースもあります。解除は別室で、子どもが見ていない場所で行いましょう。子どものスマホで解除するときは、指の指紋やスワイプした跡がついているかもしれないのでスマホ画面は拭いて返しましょう。

――ゲーム・スマホをしたい子どもの情熱は並大抵のものじゃないですからね。

親に見守って欲しい、という子どももいる

――親側からの話が続きましたが、逆に子ども側から見て、ペアレンタルコントロールのメリットはあるのでしょうか。

鈴木:意外かもしれませんが、子ども側からも「親に見守ってもらいたい」「安心な状態でゲーム・スマホを使いたい」という声もよく聞くんです。
ニュースなどを見て「ゲーム・スマホの利用で、怖いことが起きるかもしれない」と、 子どもなりに分かっているんですよね。子どもだって、知らないまま100万円課金したいわけじゃないんです。何か困ったことがあったら親に相談できる状況にしておきたいと、子ども側も思っていたりします。
さらにこれは今時ならではですが、SNSで、親子で相互フォローしているケースも結構ありますよね。もちろん子ども側はSNSのアカウントをいくつも使い分けますので、メインアカウントは親と繋がっているけれど、親が知らないサブアカウントで好きに使っているはずです。それでも親と繋がっているアカウントで「親に見られても恥ずかしくないネットの振る舞いをする」のも貴重な学びのひとつですよね。

――その視点で眺めてみれば、親世代がさらにその親と同じテレビ番組を居間で見て団らんをしていたように、令和はスマホを介した家族の団らんがあるのでしょうね。

鈴木:はい。スマホが家族のコミュニケーションのきっかけになっているので、上手に活用したいですね。楽しいことだけ共有するのではなく、親から「スマホのこんなところで困っている」と親子で普段から会話ができると、お子さんも「親もスマホで困っているんだ、自分だけじゃないんだ」と安心できるかもしれません。 日頃からそういった話が親子でできていれば、トラブル時に子どもも親に相談しやすくなります。

――最後に、『お約束メイカー』の感想について教えてください。

鈴木:「ゲーム・スマホの親子の約束を作りましょう」と私も言いますし、約束を作られているご家庭も多いと思います。ただ、どんな約束を作っていいか分からず、あれこれもと盛り込むうちに項目が多すぎて把握できなくなるケースもあるので、『お約束メイカー』はポイントが絞られている点がいいですね。
「ペアレンタルコントロール」と「親子の約束」のセットで、親子で安心、安全にゲーム・スマホを利用してもらえればと思います。

鈴木さんインタビュー風景
POINTまとめ
  • 「ペアレンタルコントロール」と「親子の約束」のセットで子どもをサポート
  • 「まあいいか」のゆるゆるも、「絶対ダメ!」のギチギチもNG!
  • パスワード入力時は別室に行き、子どものスマホなら画面も拭いて戻す!

POINTを意識して約束を作ってみる

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石徹白 未亜インタビュアー/ライター
石徹白 未亜
いとしろ みあ。ライター。ネット依存だった経験を持ち、そこからどう折り合いをつけていったかを書籍『節ネット、はじめました』(CCCメディアハウス)として出版。ネット依存に関する講演を全国で行うほか、YouTube『節ネット、デジタルデトックスチャンネル』、Twitter『デジタルデトックスbot』でデジタルデトックスの今日から始められるアイディアについても発信中。ホームページ いとしろ堂
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