親子でスマホ・ゲームお約束メイカー
インタビュー
2023年02月21日(更新日:2026年05月20日)

【不登校を経験した起業家が語る】ゲーム没収は逆効果?ゲームを味方に子どもの成長と健康を守る方法

子どもがゲームばかり...もうゲーム機やスマホを没収してしまおうかしら?

単純に没収してしまうのは良くないのう。ゲームが子どもの心のよりどころになっているかもしれないゾィ!

もくじ
小幡和輝さん小幡和輝さん

起業家、作家。高校3年で起業しSNSマーケティングやイベント製作などの事業を行う。 2019年10月より、日本初、ゲームのオンライン家庭教師『ゲムトレ』を立ち上げ、2021年に株式会社カヤックへ株式売却等を行う。 世界経済フォーラムより、世界の若手リーダー『GlobalShapers』に選出される。
https://x.com/nagomiobata
https://www.watanabepro.co.jp/mypage/61000053/

子どもからゲームを没収したことで、親子のコミュニケーションがうまくとれなくなってしまった、というご家庭も多いのではないでしょうか?ゲームは、「勉強の邪魔」や「不健康の原因」に見えてしまうかもしれません。しかし、ゲームを没収することが、かえって子どもの健康を害し、家族のコミュニケーションを悪化させてしまうとしたら、どうでしょうか。
今回は、不登校を経験し、高校生で起業。現在は、ゲーム専門の家庭教師サービス「ゲムトレ」の代表を務める小幡和輝さんに、ゲームが子どもの成長に与えるプラスの影響と、健康的な生活を送るためのヒントを伺いました。

ゲームは「敵」か、それとも「成長のパートナー」か

学校が嫌でずっと家でゲームをしていました

——小幡さんは子どもの頃、どのぐらいゲームを遊ばれていたのでしょうか?

小幡:小学校1年生のときから、1日10時間ぐらいはゲームをしていたと思います。学校が嫌で不登校になり、ずっと家にいたので、他にやることもないからゲームをしていた、という感じです。

——小幡さんは、学校のどんなところが嫌だったのでしょうか?

小幡:授業も楽しくなかったし、人付き合いも苦手だったので、友達もできませんでした。いじめられてもいたので、学校に行くことが辛くて、「学校に行きなさい!」と叱ってくる親とはいつも対立していましたね。
それでも僕は頑なに学校に行かなかったので、親とはさらにめちゃくちゃケンカになって、最終的には「もう勝手にしろ」と、匙を投げられたという感じです。

——小幡さんが不登校になってから、親御さんの反応はどうでした?

小幡:不登校になってから、僕は逆に明るくなったので、そこは親も安心してくれたんじゃないかと思います。小学校4年生からはフリースクールにも通うようになって、そこで友達ができたことも大きかったと思います。フリースクールでもゲームばかりしていたのですが、ゲームを通して友達もできたので、ゲームをやっていてよかったなぁと思いました。

「ゲーム没収」が最悪の選択になりかねない理由

自著やSNSで「不登校は不幸じゃない」というメッセージを発信し、全国を回って、不登校の子どもや親御さん向けの講演会を開催されるようになった小幡さん。講演会を開催される中で、小幡さんはあらためて「子どもに居場所を作ってあげることの重要性を感じた」と言います。

自分の好きなことについて話せる居場所が、自己肯定感を育む

自分の好きなことについて話せる居場所が、自己肯定感を育む

小幡:講演会をしている中で感じたのは、多くの不登校の子どもたちにとって、「ゲーム」が単なる遊びではなく、「好きなことを話せる居場所」「心のよりどころ」になっている、ということです。講演会に参加してくれた子どもたちとゲームの話をすると、めちゃくちゃ盛り上がるんです。そして、その様子を見た親御さんたちは「子どもがこんなに明るく話している姿は久しぶりに見た」と、すごく驚かれます。
でも、それって当たり前のことなんですよね。大人だって、自分の好きなことについて話せる場所は居心地がいいものですし、逆に自分が好きなものを否定されるのは辛いはずです。学校という居場所を失った不登校の子どもにとって、ゲームは自己表現ができる大切な場所なんです。それを否定されることは、自分の存在価値を否定されることに等しく、成長の芽を摘み取ってしまうことになりかねません。

心のよりどころがなくなると無気力になり、健康を損なうリスクも

心のよりどころがなくなると無気力になり、健康を損なうリスクも

——ゲームに否定的な親御さんは、子どもがゲームばかりしていることに不安を感じています。「ゲームさえなければ学校に行くはず」「ゲームさえなければ勉強するはず」と、ゲームそのものを禁止したり、取り上げて没収したりすることもあるようですが……。

小幡:ゲームを心のよりどころにしている子から、ゲームを没収してしまうのは最悪な選択だと思います。学校に居場所がなくて不登校になり、親も自分を理解してくれないから、家にも居場所がなくなり、ゲームが唯一の心のよりどころとしての居場所だったのに、そのゲームまで没収してしまったらどうなると思いますか?

——どこにも居場所がなくなり、無気力になって、何もやる気が起きなくなってしまいそうですよね。

小幡:そうなりますよね。このような無気力状態に陥ってしまうと、他人とコミュニケーションをとる意欲も、何かを学ぼうとする意欲も失われてしまいます。さらに、生きること自体がどうでもよくなってしまい、精神的にも肉体的にも健康を損なうことさえありえます。
親御さんだって、自分の子どもがそんな状態になることを望んではいないはずです。きっと、子どもには心身ともに健康に成長してほしいと思っているはず。だから、まずは子どもの居場所を奪わずに、むしろ作ってあげることが大切なんです。僕の場合は、フリースクールが居場所になっていきましたが、まだまだそういう場所は不足していると思います。そこで、僕はゲームの家庭教師サービス「ゲムトレ」を始めることにしたんです。

不登校から「ゲムトレ」起業へ。ゲームが育んだコミュニケーション能力

子どもたちの居場所を作るために、ゲームの家庭教師サービス「ゲムトレ」を始められた小幡さんの活動について、詳しく伺いました。

ゲームを頑張って良かったと思える社会をつくる

ゲームを頑張って良かったと思える社会をつくる

——あらためて「ゲムトレ」の理念を教えていただけますか?

小幡:「ゲムトレ」の理念は「ゲームを頑張って良かったと思える社会をつくること」です。僕自身、ゲームを通して友達ができたし、高校生の頃には好きだったカードゲームの大会を手伝ったことがきっかけで、イベント会社を起業することができました。ゲームを頑張っていたおかげで、今の僕があると思っています。そんな想いを社会全体に広めていきたくて「ゲムトレ」を立ち上げたという側面もあります。

——ゲームが好きな子どもたちの居場所を作りつつ、ゲームを頑張ったことが認められる社会を作ろうとされているんですね。

小幡:はい。「ゲムトレ」は、ゲームが好きな子どもたちが集まれる居場所であり、ゲームが上手い先生(トレーナー)がいて、ゲームを頑張ると自分を認めてもらえる。「ゲムトレ」はそんな場所でありつつ、ゲームのプロを目指せる場所でもあります。プロゲーマーの世界はまだまだ厳しくて、ゲームの腕前だけで生活していくのは、プロ野球の選手になるよりも難しいのが現状です。それでも、プロゲーマーを目指して頑張ったことは決して無駄にはなりませんし、ゲームを真剣にプレイすることで得られるメリットもたくさんあります。

——ゲームを頑張ることで、どんなメリットが得られるのでしょうか?

小幡:まず、コミュニケーション能力を養うことができるのは、大きなメリットですね。「ゲームばかりしていると、社会性が育たないのでは?」と懸念する声もありますが、ゲームを通じて友達もできますし、特にチームで対戦するゲームの場合は、バスケットボールやフットサルのように相手と対戦しながら仲間同士でお互いに指示を出しあうチームワークがとても大事なので、コミュニケーションの取り方も身に付きます。また、トレーナーは「ゲムトレ」に来ている子どもたちより少しだけ年上のお兄さんたちなので、トレーナーとのコミュニケーションを通して、礼儀作法も身につくと考えています。これは将来、社会で生きていくためにとても役立ちますよね。

楽しくゲームを遊ぶために健康的な生活リズムをつくる

ゲームを通してコミュニケーション能力が養えるというのは大きなメリットですが、ゲームに夢中になることで運動不足や睡眠不足、昼夜逆転による健康被害に繋がるのではないかと心配する親御さんも多いのではないでしょうか?小幡さんが、子どもたちの運動不足や睡眠不足を解消するために、行っていることを伺いました。

「朝ゲー」が早起きのモチベーションになる

「朝ゲー」が早起きのモチベーションになる

小幡:僕は不登校だった頃に、1日10時間ぐらいゲームをしていましたが、実は昼夜逆転するようなことはありませんでした。なぜなら、朝早く起きて、フリースクールに行って友達とゲームをすることを楽しみにしていたので、夜はしっかり寝て、早起きしていました。また、少し遠くのフリースクールに通っていたので、通学の行き帰りに歩くことで、運動不足になることもなかったですね。

——朝早く起きて、友達とゲームをすることをモチベーションにされていたんですね。

小幡:ゲームに否定的な親御さんは、「ゲームばかりしている子は睡眠不足になる」と思われているかもしれませんが、「朝からゲームを遊んだほうが楽しい」という環境があれば、夜はしっかり寝て、早起きしてゲームを遊ぶようになります。子どもが夜にゲームを遊ぶのは、例えば「夜なら親が寝ているから注意されない」とか、「オンラインの対戦ゲームは、夜じゃないと相手がいない」というような、様々な理由があるからだと思います。なので、環境を変えてあげて、早起きするためのモチベーションが上がれば、規則正しい生活を送らせることは難しいことではありません。

昼夜逆転を解消して健康的な1日を送ることが第一

——「ゲムトレ」では、朝からゲームをする活動もされているそうですね。

小幡:「ゲムトレ」では、「朝からゲームをすることで脳を活性化して、健康的で充実した一日を送って欲しい」という想いから、「朝ゲー」という活動をしています。みんなで朝からゲームをすれば、「夜中じゃないと対戦相手がいない」という問題も解決できますし、「ゲームをするために朝早く起きる」という習慣が身に付けば、一日を有意義に過ごすことができると思います。
こういったお話をすると、どうしても「朝は学校に行かせなきゃ」と思われてしまう親御さんも多いと思います。でも、もしお子さんがゲームばかりしていて、昼夜逆転生活を送っているようでしたら、朝から無理やり学校に行かせるよりも、まずは「楽しいことがあるから早く起きる」というポジティブな動機で昼夜逆転生活を解消して、健康的な生活に戻してあげることの方が大事なのではないでしょうか。

ゲーム家庭教師サービス代表から見た『お約束メイカー』とは?

最後に、ガンホーの『親子でスマホとゲームのお約束メイカー』について、小幡さんに感想を伺いました。

子どもたちが自発的にルール(約束)をつくれるようになるのが理想

小幡:とても良い取り組みだと思います。ゲームについて親御さんが一方的に決めた約束は、子どもにとって足かせでしかないと思いますが、一緒に約束を作ることで、子どももある程度、納得することはできると思います。それでも、親御さんに「ゲームは悪いもの」という考えが根底にあると、せっかく作った約束も、子どもは破ってしまうと思います。
まずは、ゲームを心のよりどころにしている子どものことを、理解してあげることが大切です。僕らが取り組んでいる「朝ゲー」もそうですが、「朝から楽しくゲームをするために、夜はしっかりと寝る」といった約束を、子どもたちが自発的につくれるようになるのが理想だと思います。

ゲームを「没収」して排除するのではなく、子どもの「居場所」として認め、健康的な生活の一部として取り入れていく。そんな親御さんの理解こそが、不登校という困難を乗り越え、子どもが自分の足で歩き出し成長してくための最大のサポートになるはずです。

POINTまとめ
  • 多くの不登校の子どもにとってゲームが「心のよりどころ」になっている
  • ゲーム没収は、無気力になり、健康を損なうリスクも
  • ゲームを通じてコミュニケーション能力を育み、成長する
  • 楽しく遊ぶことが早起きのモチベーションにつながる

POINTを意識して約束を作ってみる

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不登校になった子どもがゲームばかりしている状況は、親にとって大きな不安です。ご自身も中学生の時に不登校とゲーム依存を経験し、現在は精神保健福祉士として小学生から思春期の不登校の子どもを支援されている増田貴久さんに、不登校の根本原因やゲームとの付き合い方、親の失敗例について伺いました。
石徹白 未亜インタビュアー/ライター
石徹白 未亜
いとしろ みあ。ライター。ネット依存だった経験を持ち、そこからどう折り合いをつけていったかを書籍『節ネット、はじめました』(CCCメディアハウス)として出版。ネット依存に関する講演を全国で行うほか、YouTube『節ネット、デジタルデトックスチャンネル』、Twitter(X)『デジタルデトックスbot』でデジタルデトックスの今日から始められるアイディアについても発信中。ホームページ いとしろ堂
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