親子でスマホ・ゲームお約束メイカー
インタビュー
2022年07月06日(更新日:2026年03月27日)

【保育学のプロに聞く】スマホやゲームは何歳から?入学祝いはNG?プロの視点からベストな購入時期を解説!

入学祝いはスマホ!これなら、親子でいつでも連絡が取れるし安心ね

4月にスマホデビューは実はNGなんジャ!持たせるなら、親子で納得した約束を決めることもトラブル防止につながるゾィ!

もくじ
松田 純子さん松田 純子さん

現職:実践女子大学 生活科学部 生活文化学科 教授
専門:保育学、幼児教育学

お茶の水女子大学家政学部児童学科卒業後、幼稚園教諭として勤務。その後アメリカに留学し、子どもの発達や幼児教育について学ぶ。ミルズ大学大学院修士課程修了。帰国後、幼稚園教諭等を経て、保育者養成に携わる。現在は、幼稚園や保育所などの集団保育に限らず、子育てや家庭教育を含めて広く保育という営みを捉え、子どもにとっての様々な保育体験の意味について研究を行っている。

最近は、小学生が子ども用の携帯電話でなくスマホを使っている姿もよく見かけるようになりました。「周りの友達が持ち始めたから」「習い事の帰り道が心配だから」……。そんな理由で、子どもにスマホを持たせる時期を悩んでいる保護者の方は多いはずです。しかし、いざ持たせるとなると「小学生になったばかりで使いこなせるのか」「スマホ何歳からが安全なのか」と不安は尽きません。
また、スマホを持たせるにあたって親子での約束作りは大切ですが、子どもが小さいと「話し合いなんて無理では?」と思われがちです。しかし、子どもの力を侮ってはいけません。実は、幼稚園児や保育園児でも、大人顔負けの「話し合い」ができるのです。今回は、子どもがいつからスマホを持つべきか、そして持たせる前に育んでおきたい力について、保育学、幼児教育学を専門とされる実践女子大学の松田純子教授にお話を伺いました。

小学生のスマホデビューはいつから?所有率とメリット・デメリット

東京都が令和4年に発表した「家庭における青少年のスマホ等の利用等に関する調査報告書」によると、小学校低学年のうち17.6%は携帯ゲーム機を、28%がスマホを所有していました。また、国の調査である「令和2年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」でも、小学生の40.2%がスマホを利用しているという結果が出ています。
スマホを早くから持たせることのメリットとして、子どもと連絡が取れたり、子どもの位置が分かったりなど防犯上の安心に繋がるというのは大きいですが、一方で子どもにスマホを早く持たせることで「使い過ぎ」「友達とのトラブル」などの問題も懸念され、頭が痛いところです。さらに松田さんに伺うと、「何歳から」とは違った「いつ」の問題もあるようです。

小学生には、スマホ・ゲーム機を「4月」に持たせない方がいい理由

子どもに、いつスマホやゲーム機を持たせるかとなると、つい「何歳で」持たせるかに目が行きがちです。しかし実は、それ以外にも「時期」についての意外なポイントがあるんです。ある親子のトラブル事例から見ていきます。

入学祝いのゲーム機で失敗?小学生がゲームにハマりすぎてしまったケース

——まずは、小学校の入学祝いとして、息子さんにゲーム機をプレゼントした、あるご家庭のケースを紹介します。

入学祝いとしてプレゼントされたゲーム機で遊ぶことに夢中になった、小学校一年生の息子さん。

新しい事をたくさん覚えなくてはいけない入学したての時期なのに、段々と学校の事がおろそかになってしまい、結果として親御さんがゲーム機を取り上げました。しかし、この子には小学校三年生のお兄さんがおり、「お兄ちゃんはゲームができているのに、なんで僕だけ!」と、強い反発と不満が生まれてしまったそうです。


松田:人間は誰しも、新しい環境に適応していくときは疲れるし、エネルギーも使うものですよね。私が教えている大学生たちも、4月は「友達ができるだろうか?」と、とても不安そうですよ。入学という生活が一新する時期にゲーム機も新たに買い与えたとなると、息子さんにとっては、ちょっとオーバーフロー気味だったのかもしれませんね。
特にスマホやゲーム機は、入学祝いとして「4月」にお子さんにプレゼントするケースも多いかと思いますが、新入学など環境が大きく変わる時期は、まずそちらに集中させてあげたいですね。スマホやゲーム機は、新しい生活に慣れてきた「5月」くらいに持たせる方が、実はおススメなんです。もしくは、学校生活が落ち着いて過ごせるようになっているクリスマスプレゼントにした方がいいかもしれません。

——スマホやゲーム機を「何月に持たせるか」という考えは盲点ですね。小学生になり、学校生活のリズムが整ってから、ゆっくりと「いつから始めようか」と親子で話し合うのが良さそうですね。

「スマホ・ゲームは何歳から?」年齢差や条件が違う時の伝え方

松田:それと、ご紹介いただいたケースでは、お兄さんがゲーム機を使えている状況が、禁止されている弟さんにとっては大きな不満になっているようですね。兄弟にはどうしても「年齢差」が出てしまいますが、「弟さん自身が大きくなるまで待って欲しい」と、大人側が「譲れない」という点はしっかりと伝えていいと思います。
ただ、小学校三年生であれば、お兄さん側にも弟さんへの配慮をお願いしてもいい年齢だと思いますね。お兄さんが横で楽しそうにゲームをしていたら、禁止されている弟さんは羨ましくなってしまい、不満がどんどん募ってしまうのは当たり前です。家族の中で「スマホやゲームをいつから誰がどう使うか」という話は、使い方だけの話でなく、お互いの配慮を学ぶ機会にもなるはずです。

【保育学の視点】小学生でスマホ・ゲームをやりすぎないために!幼児期に身に着けたい3つの力

松田さんのご専門は保育学です。ここからは幼児期のお子さんが身に着けておいた方がいい事についてお話を伺います。将来、小学生になってスマホやゲームを手にする日のための「土台作り」など、幼児期に限らず、お子さんがいくつになっても大切なことが満載です。

幼児期に身に着けたい3つのこと その①基本的な生活習慣がスマホ自制心の鍵

幼児期に身に着けたい3つのこと その①基本的な生活習慣がスマホ自制心の鍵

松田:幼児期(3~4歳ころ)から就学前にかけて身に着けたいことは3つあります。まずは「基本的な生活習慣」です。食事、排泄、睡眠、着脱衣、清潔といった、人が生活していく上で必要となる基本的な習慣です。たとえば食べ物はこぼさない、トイレの始末ができる、脱いだ服をきちんと洗濯かごに入れるなどです。
早期教育に目がいきがちな親御さんもいるかもしれませんが、これらは、大人なら当たり前にできることなので、とても大切なことです。基本的な生活習慣をぶれずに行い、「やっていく大事さ」「きちんとすることの気持ちよさ」を体にきざんでおくと、スマホやゲームのような魅力的なものが出てきたとしても、「一日の限られた時間の中で、他にもやらなければいけないことがある」と抑制、我慢、切り替えられる力の基盤が作られていきます。

——「基本的な生活習慣」が、ぱっと見では繋がっていないように見える「スマホ・ゲームと適度につきあっていく力」に繋がっているのですね。

松田:はい。生活習慣を身に着けるにあたっては、お子さんは我慢すべきところも出てきますので、我慢できたら「よく頑張れたね」と、親御さんは褒めてあげて欲しいですね。それがお子さんの自尊心にも繋がっていきます。スマホ・ゲームの使い過ぎを防ぐ「自制心」は、こうした日常の小さな積み重ねから育まれます。幼児は大人からすると、いたずらに見えるような行動をとることもあるため、それに対して修正は必要ですが、意欲までぺしゃんこにしないように気を付けていただきたいと思います。

幼児期に身に着けたい3つのこと その②親子の信頼関係がネットトラブルを防ぐ

松田:幼児期に身に着けたい2つめは、「親子の信頼関係を築くこと」です。
未就学児の親御さんは働き盛りの世代の方も多く、とてもお忙しいと思います。ですので、親御さんだけでなんとかしようと思わず、保育園や幼稚園などの先生(保育の専門家)と情報共有しあい、お子さんのことを受け止めているよ、見ているよ、とお子さんに伝えて欲しいですね。
親子で結ばれた信頼関係は、他の人たちとの信頼関係にも繋がっていき、さらには社会、世間に対する信頼にも繋がっていきます。たとえば、「世の中捨てたもんじゃない」と思える気持ちなどですね。

———過去のインタビューで、世の中に白けてしまっている中学生のケースがありましたが、白けて生きるのはつらいですよね。やはり「世の中捨てたもんじゃない」でありたいものです。

幼児期に身に着けたい3つのこと その③五感を使った「遊び」がスマホ・ゲームへの欲を抑える

松田:幼児期に身に着けたいことの3つめは「遊び」です。スマホ、テレビなどの映像メディアは視覚と聴覚が中心になりがちです。外に出て自然の中で、匂い(嗅覚)、味(味覚)、触れた感覚(触覚)など、他の五感も刺激されるような遊びも取り入れることで、スマホ・ゲームばかりにならないようバランスを保つ力が育まれます。
未就学の幼児は、今までお話してきた、①基本的な生活習慣、②親子の信頼関係、③五感を使った遊び、の3つを培う時期です。なので、この時期に早期教育に目がいきがちになり「勉強をしないと……」となってしまうと、この重要な3点が端の方に行ってしまわないかは心配ですね。
「遊び」は、親から見たら何もしていないようにも見えますが、何気ない子どもたちの時間の中に大事なものがたくさんあります。じっくり考えて、その世界に浸っているんです。

——子どもが地面にうずくまりじっと何かを見ていて、買い物袋をさげたお母さんが「行くよ」と声をかけている姿を見かけることがありますね。早く帰りたいお母さんの気持ちも分かるのですが、こういった時は、待ってあげたほうがいいのでしょうか?

松田:そうですね。それがお子さんにとって「浸っている」「じっくり考えている」時間でもあるんです。最近は防犯上の観点から、お子さんがふらっと一人遊びに行くことがどんどん難しくなっていますし、親御さん側もお子さんを管理しなくては、と負担も増しています。なかなか難しいかもしれませんが、お子さんも親御さんも、それぞれ安心してぼーっとできる時間を作ってほしいと思います。

何歳からスマホ・ゲームのルールを決められる?~5歳児をなめてはいけない~

幼児期に身に着けたい3つのうちの「①基本的な生活習慣」においては、「脱いだ服は洗濯かごに入れよう」など、さまざまな親子の決まり、約束も欠かせなくなってきます。小学生になってスマホやゲームのルールを作る際にも、この「約束の練習」が役に立ちます。では、幼児である子どもと、どう約束を作っていけばいいのでしょうか?ポイントを伺います。

5歳児はただ褒めるだけでは動かない「納得感を育む」コミュニケーション

5歳児はただ褒めるだけでは動かない「納得感を育む」コミュニケーション

松田:まず一言で幼児といっても、年齢に応じた対応は必要になってきます。褒める言葉も年齢に応じて変わってくるんです。3歳くらいなら「すごいね」だけで喜んでくれますが、4~5歳になると、「こういうところがいいね、よくできたね」と具体的に言わないと、子どもは「ただ褒めてるだけじゃないか」と察します。スマホやゲームのルールを守れた時も、心からの言葉で具体的に伝えてあげたいですね。

——相手を「幼児だから分からないだろう」と思って、甘く見てはいけないですね。

松田:はい。お子さんにしっかり届く言葉で褒めたいところです。しっかり親に認めてもらっていることがお子さんに伝わると、「ここは頑張ろう」「ここは我慢しよう」という気持ちへと繋がっていきます。いつかは成長にあわせて、親御さんがいないところでも柔軟に、そして誰も見ていないところでも、お子さん自身で正しい判断、行動をしていかないといけないですから。

「完全無欠な親」ではなく、「親子で一緒に頑張ろう」のスタンスでいい

松田:子どもも5~6歳になれば親の本音と建前を見抜きます。ですので、親御さん自身も今日は疲れてしまって「決めていた約束が守れない…」というときは、正直にお子さんに「今日は疲れちゃって約束が守れない、でも次は頑張るね」と言った方がいいと思います。むしろ、その方がお子さんも「大人だってできない時があるんだ」とホッとしますよ。
親御さんも完璧な親であろうとするより、お子さんと「一緒に頑張ろう」というスタンスでいる方が、しんどくないのではないかと思います。スマホは何歳から?ゲームはいつから?というルールも、親子で一緒に試行錯誤していけばいいんです。
そして親御さん側が間違った発言、行動をしてしまったときは、お子さんに「ごめんね」と言えることも大切にしたいですね。「一緒に生活していく中で、良い方向に進んでいきましょう」という気持ちを親側の姿勢で示し、親子で分かち合っていくことが大切です。

——完全無欠な親であろうとすると、親御さん自身も疲れてしまいますもんね。

約束は縛りではなく、心地よく皆が幸せに過ごすためにあるもの

約束は縛りではなく、心地よく皆が幸せに過ごすためにあるもの

松田:そして約束、決まり、ルールがあるのは、「縛り」ではなく、心地よく皆が幸せに過ごすためのものです。海外では日本と異なる約束があるなど、場所や文化によって変わる点はありますが、「その場の皆が幸せに過ごすために約束はある」という原則論はどこでも共通しています。スマホやゲームのルールも、決して子どもを縛るためのものではありません。

——約束を「縛るもの」と思うか、「皆が幸せに過ごすためのもの」と思うかは大きな違いですよね。

松田:はい。「皆が幸せに過ごすためのもの」という考えを基本にして、これなら妥当だな、と言う約束を親御さんと相談しながら作っていくのは、お子さんにとって、とても民主的な経験になっていきます。当然親御さんも譲れるところ、譲れないところはありますから、それを伝えて、お子さんが納得できるように交渉していくことが大切です。

「子どもだから話し合いなんて無理」は大人の思い込み?何歳からでも対話はできる

——親子の約束というのは、子どもが何歳くらいのころから作れるものなのでしょうか?

松田:3歳の子どもでも、親側でそれを受け止めて、代弁していけば作れると思いますよ。「子どもだから話にならない、話し合いができない」というのは大人の思い込みです。大人が子どもを甘く見た態度でいれば、お子さん側もそれを見抜いて「駄々をこねて通せばいい」と子どもの対応を取ってしまいます。お子さんを尊重して意見を聞き、その上で大人の方の事情もこうなんだ、ときちんと対話をしましょう。

——子どもが幼い対応を取るのは、親側が「子どもを子ども扱いしている」から……、というのはドキッとしますね。

松田:子どもは親が自分をどう扱っているのか、本当によく見ています。ですので、親子できちんと話し合い、子ども側が「自分の話を親が聞いてくれる、受け入れてもらえる」と思えるような話し合いの経験を積み重ねられれば、お子さんは自分の意見を認められ、自分は価値のある存在なのだと思えます。それは自尊心へと繋がっていきます。

——ガンホーが提供する「お約束メイカー」は、親子の話し合いを前提としているので、スマホ、ゲームの約束作りの際に活用しやすそうですね。

松田:そうですね。親子で確認しながら、一方向ではなく、両者の合意のもと進められるのもいいと思います。年齢に応じてカスタマイズできるのもいいですね。
お子さんは、親が自分の言葉を受け止めてくれることを実感できれば、自分の気持ちを躊躇せず話せるようになります。一方で、自分の主張ばかりすると、お友達や親、先生などの大人との間に葛藤も生まれることになるでしょう。
「お互いの気持ちを大事にしながら、どういう風に解決したらいいだろう?」という経験を小さいころから積み上げていくと、相手の気持ちもわかるようになり、誇りをもって相手に譲ることもできるようになりますし、葛藤も解決できるようになっていきます。いつからスマホを持たせても、この「解決する力」があれば安心ですね。
保育園などで子どもたちを見ていても、自分がトラブルの当事者になったり、他の子たちのトラブルを第三者として接したりすることを通じて、子どもは自分でどんどん学習していきます。こういった良い経験を積むことで、5歳くらいの子どもたちだけでも驚くほど民主的な話し合いができるようになるんです。
ぜひ、ご家庭でもお子さんとの「対話」を大事にしてください。

POINTまとめ
  • 4月にスマホ・ゲーム機のプレゼントは避けた方がいい
  • 幼児期は早期教育より「基本的な生活習慣」「親子の信頼関係」「五感を使った遊び」の3つを優先したい
  • 完全無欠な親よりも、「親子で一緒に頑張ろう」のスタンスで、スマホやゲームの約束を作る

POINTを意識して約束を作ってみる

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石徹白 未亜インタビュアー/ライター
石徹白 未亜
いとしろ みあ。ライター。ネット依存だった経験を持ち、そこからどう折り合いをつけていったかを書籍『節ネット、はじめました』(CCCメディアハウス)として出版。ネット依存に関する講演を全国で行うほか、YouTube『節ネット、デジタルデトックスチャンネル』、Twitter(X)『デジタルデトックスbot』でデジタルデトックスの今日から始められるアイディアについても発信中。ホームページ いとしろ堂
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